私が読んだ中から面白い無料で読める完結済みネット小説を紹介しています。
なろう系が多めですが、カクヨムやSS掲示板関連の作品もあります。
完結レビュー記事数は2020年までで112作品(過去1)・(過去2)・
2021年は現在22作のレビューがあります。
2022年のまとめはこちらです。
こんな方へおすすめです
✔ランキング外のもっと評価されるべきマイナー名作を知りたい
✔イヤみのない異世界転生とか俺TUEE系をお探しの方
✔完結・安心して読める面白い小説をお探しの方
✔作品の傾向を知ってから読みたい方
✔コメント欄で感想や良作をシェアしたい方(コメント求む)
・最後まで読めた小説…☆3
・けっこう楽しめた小説…☆4
・尖った魅力を持つと感じた小説…☆5
レビューでベタ褒めしている場合は内心☆6です。読み手によって好みは様々なので表示は☆5まで。
※他の方が多数の作品を紹介してくれています。ぜひ本文下のコメント欄もご覧ください。
2021レビュー小説一覧
2022/2 最新のまとめはこちらにてレビューしています。現在のページは↓作品群のレビューを読みたい場合読み進めてください。
閲覧者様、私のレビュー以外にもたくさんの作品が紹介されているため、記事一番下↓↓の皆さんのコメントもぜひご覧ください。
5/24 復讐は天罰を呼び、魔術師はぽやぽやを楽しみたい ☆5
5/24 百万回転生した俺は、平和な世界でも油断しない ☆5
5/24 悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました ☆5
5/24 黄金の経験値 ☆4
5/24 ドラゴンキラー商店街 ☆4
5/24 転生王子と憂いの大国 ☆4
5/24 やりなおし貴族の聖人化レベルアップ ☆4
4/1 傭兵と小説家 ☆5
4/1 最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~ ☆3
4/1 むらさきひめ ☆4
4/1 三大陸英雄記~現代知識による帝国再建記~ ☆5
2/13 異世界のクイズ王 ☆5
2/13 湯沸かし勇者の復讐譚 〜水をお湯にすることしか出来ない勇者だけど、全てを奪ったお前らを殺すにはこいつで十分だ〜 ☆4
2/13 マイナスファンタジー ☆3
1/13 村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない ☆5
1/13 12ハロンのチクショー道 ☆5
1/4 世界再生GAME ☆5
1/4 世界でただ一人の魔物使い~転職したら魔王に間違われました~ ☆3
1/4 モンスターのご主人様 ☆5
1/4 チートで賢者な俺は異世界に革命を起こす ☆3(ネタ枠)
1/4 僕以外の人類はVR空間に移住した ☆5
1/4 悪魔公女 〜ゆるいアクマの物語〜 ☆4
過去作品その1はコチラ
おすすめ度★★★★★
復讐は天罰を呼び、魔術師はぽやぽやを楽しみたい
貧乏平民に転生、一歩ずつ学び、認められ出世していきます。
非常に上質な異世界転移魔法ファンタジー。
タイトルには復讐とあるが、後ろ暗い復讐要素はないです。
「面白い」小説とはこういった作品のことを言うのだと思います。
あらすじにぶっ飛んだ要素はありません。捨て駒にされそうになりながらも努力して生き残り、頭角を現す中盤からもオーソドックスな内政発展系の物語と言えるでしょう。
爆発的な盛り上がりやカタルシスも少ないが、なんだかんだで徹夜してしまう。常に地に足ついた面白さが持続しているタイプの小説です。
丁寧でありながらクドくない、スラスラ読み進められる文章。
魔法には対応した触媒が必要になるなど、オリジナリティのある魔法設定。主人公の考察も読んでいて楽しい。
俺つえぇになりすぎない程度の俺だけの能力。派手な料理に勝る職人の仕事だと思います。
最高の小説かと問われれば違うと思います。ビリっとくるような盛り上がりとか、人物や心理の描写が不足しているように感じますし、小説にすべてを委ねているような感覚は得られなかったです。
ラストも意見が分かれそう。相変わらず終始ペースが一定だったこと、多くのキャラが舞台装置の域を出なかったことなど、淡白に感じる人も多いかもしれません。
一方で抑えるべきポイントは抑えた完結でしたし、ハッピーエンドらしいすっきりした読後感もあります。
まとめると読んで損しない秀作だと思います。
百万回転生した俺は、平和な世界でも油断しない
死にまくり。理不尽の果てに転生したのは平和な世界。でも裏があるに違いない。主人公は警戒して生きていく。
…といういかにも俺つえぇなろうファンタジーっぽい出だしだが、実際はコメディ調人生ドラマ。
しかし勘違いして読みに来た人を捕まえて逃がさない怪作です。ジャンルで食わず嫌い勢を強制的に改宗させるなろう屈指の人生劇場。
俺たちはいったい何を見せられているんだ…。あれ、目から水が…。
騙されたと思って読んでみてほしい。さくさく進むし、本当に面白いから。
主人公が幼稚園に行くまで読んで、それでだめなら戻っていいから。逆に戻れないなら、逃げられないから。
どこまでも平和な世界。どこまでもまっとうな人生が輝いて見える。
序盤からセンスが溢れ笑ってしまう文章。そして「この作者、人生全ての通過儀礼をこなしているのでは?」と唸るほどの、世代ごとの心身の変化をうまく捉え文字にする力。
非常にわかりみが深い。言葉にできないモヤモヤを形にして、自分が言いたかったことを代わりに行ってくれるタイプの小説です。
序盤はコメディ、中盤は考えさせられるコメディ。終盤は…うっ(´;ω;`)
読みしめるごとに味が変わるネルネルネルネ。
ラスト「お、おわっ、終わった? え? …終わり、か。そうか。そうかな、そこでもいいかな。いや、そこでいいのか。…終わったか…、そうか…」
訳:読後感は素晴らしいの一言。一つの人生の終わり、天寿の全うを体感したかのような。悲しいわけではない。でも万感の。半泣きした。
読み終えた余韻で作者検索したら「セーブ&ロードのできる宿屋さん」の人だった。大御所さすがです。
悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました
私が読んだ悪役令嬢もので確実にトップ3に入る面白さ。
文句のつけようのないクオリティ。頭のてっぺんから尻尾の先までおもしろいです。
全エピソードにしっかりとした起承転結があり、一章ごとに☆5つけてまわりたいレベルです。
序盤は安定のテンプレ婚約破棄。から乙女ゲーの記憶が戻り、未来の破滅を知る。
破滅を避けるために現時点では攻略できないはずの魔王ルートを命懸けで攻略にいき、幸せを掴もうとする物語。
形から入るのは悪いことじゃない。
人間模様の描写が見事でお得感と幸せ感が強い、いろいろと気付かされ学ぶことの多い小説です。
私はカラスのアーモンド君が良い味出しているなと思い始めたころから物語に引き込まれていきました。
見切り点としては、一章を読み終えて楽しめなかったら離脱しても良いと思います。
悪役令嬢ものの見せ所をテンコ盛りにした作品でもあります。
主人公である悪役令嬢の、したたかでありながらさっぱりとしていて、さらに物理攻撃が可能なところ。
攻略対象や周囲のキャラの魅力、ぶっとんだ展開の中で”生きている”キャラの躍動感。
噛ませ。でもそれだけで終わらない元婚約者。
簡単には主人公に負けない強敵ヒロイン令嬢。ガチで剣を交える展開もあります。
さらになろう連載作品らしい、異世界や本来のゲーム世界と現実のクロス展開など抑えるところをすべて抑えつつ、圧倒的なクオリティで仕上がっています。
文字数が多く、キャラもそれに比例して多いです。並の作品ならサブキャラはサブキャラで終わりなのですが、「もっとこのサブキャラについて知りたい」そう思ってしまうのは名作の証。
ストーリーは凝ったぶっとび展開が連発。しかし不思議と理解して着いていけます。
オリジナリティを忘れず、そのうえで王道をゆく。時代がもう少し早ければ悪役令嬢ものの代名詞になっていたとしてもおかしくないレベルの作品です。
商業的にもこの文字数で最後まで単行本を発売できるということで、すごいことだと思います。おめでとうございます。
万人に勧められる悪役令嬢ものです。次の一冊にぜひ。
三大陸英雄記~現代知識による帝国再建記~
そうそうこれだよ! な内政アンド仮想戦記。三人称。傑作です。
まず、文章がこなれていて楽に読めます。人称を理解しつつも面白く崩していたり、作者がなろう系の良さを理解している感じですね。
内政や戦争パートも「斬新!」ということはありませんが、世界史詳しい勢が考えた、理にかなった展開であるため納得できるし、勉強になる小ネタも多いです。
プロットが歴史ドラマの脚本のように組まれているため、ガバを感じさせないのがとても好印象です。
内政にしてもマヨネーズ!手押しポンプ!みたいな安直ネタを引っ張ったりしないため、現代知識チートに飽きた玄人でも楽しめます。
ただし稀にメタ要素(何話ぶりの登場だね等)や過激な行動(虐殺やノクタ行きスレスレの奴隷プレイ等)が混ざり、人によっては胸糞な表現もあるため敏感お肌の方はご注意ください。
夜のご主人様要素がけっこう強く、幼馴染のエルフや奴隷に足舐めさせたりサキュバス的な大悪魔が出てきたりします。
特に中盤以降の日常パートは数話に一度ノクターンノベル行きスレスレを飛行していますが、史実のお偉いさんもだいたいこんな感じだったのだろうし仕方ないね。…たぶん。
そんな主人公は俺つえぇしても許せるタイプの理詰めオラオラ皇帝陛下です。
100万文字を超える小説であるためキャラの数も相応に多いですが、主要人物は書き分けができていると思います。
三大陸英雄記を小説以外で例えるなら、戦略シミュも楽しめる18禁同人ゲーといったところでしょうか。巣作りド〇ゴンとか、ゴ〇リンの巣穴とか。
(たぶんこの作品紹介追記後にグーグル先生の検閲にひっかかるだろうなぁ…)
閑話休題
この小説の主人公は歴史上の偉大な人物という設定であるため、最初から主人公無双が約束されています。
その点でもとっつきやすく、ドS描写が許せるのならなろう戦記初心者~もうガバガバ戦記は勘弁という玄人さんまで幅広く読める秀作だと思います。
傭兵と小説家
鉄道と文明の時代、そして傭兵の時代の終わりに、とある腕利き傭兵の元に迷い込んだ任務は、今をときめく美人小説家の取材を護衛すること。
目的地は魔の山。神秘性と危険度は折り紙付き。登場人物たちの因縁が絡まってゆく。
なろうらしくない、異世界ものが席巻する以前に本屋に並んでいたような正統派ライトノベル。
重くも洒落た言い回しに、逆に硬派で鉄臭いものを感じる文体です。
登場人物にはしっかりとした背景が存在し、練られた構成に安心して読むことができます。
その点、物語を理解するためにはしっかりと読む必要があり、短い作品ですがじっくり読める体力のある方向けかなと思います。
謎を残しながら物語が進み、そして謎が解き明かされてゆく瞬間は良いものです。
「ファンタジー世界だから」で片づけない。SF味ある事後のストーリーも含めてゾクリとさせてくれます。
テーマは理解しやすく、目が飛び出るほどの意外性があるわけではありません。
それでも唸らせられる味付け。スーパーの具材をプロの料理人が調理したような一作です。
章ごとに完結しているシリーズで、2021年現在では二章までが完結しています。
傭兵と小説家の物語は今後も続くようですが、一章ごとに完結と評せる内容であるため完結スキーの方も安心してお読みください。
異世界のクイズ王
異世界×クイズ! …クイズ?!
クイズに人生を捧げた男が、生活のすべてがクイズを中心にまわっている異世界で世界の命運を賭けたクイズ大会に出場することに。
主人公は日本人。もちろん異世界知識は驚きのゼロ。
日本なら一番高い山は富士山だが、じゃあ異世界で一番高い山は?
そんなん無理やろわかるわけ……ふぁっ!?
いやいやそれは無理だって…からのクイズ奥深すぎてやばい。クイズ、やばい。この小説、厚くて熱い。すぎょい。
この小説を読んだ後は、パネルクイズアタック25の参加者たちが超人に見える…かもしれない。
その道のオタクにしかこの小説は書けないでしょう。他の作品にはない面白さがあります。
加えて小説そのものがよく練られており、細かい異世界料理の描写や妖精を基礎とした世界観の設定、細々とした単語の選び方にクイズを小説の題材に選んじゃうヘンタイ作者のプロ力を感じます。
クイズバトルなのに剣と魔法のバトルに引けを取らない加速度、濃厚さ。手に汗にぎります。間違いなくなろうの海に埋もれた宝石の一つです。
たまにエキゾチック双子エロとかが混入されているのも私の性癖的にポイント高いですね。キャラもよくできていると思います。
女の子が可愛いのにハーレムじゃないのも素晴らしい。悪役双子女王の尻叩きで☆5を確信しました。ええ。
ラストはあっさり。しかしピントは絞られており王道で満足。爽やかな読後感を得られることと思います。
この小説を最後まで読んだとき、全員が口をそろえてこう言います。「クイズ戦士やべぇ」
このクオリティでレビュー1、総合ポイント5000未満とは、どう考えても釣り合っていません。もっと評価されるべき筆頭作品だと思います。
村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない
村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない 01 [ 昼熊 ]
ある日不思議なゲームが届き、そのあまりのリアルさにのめりこむニート主人公。
ゲームの中で懸命に生きる人々に神様として接する中で、主人公はニート生活で忘れていた、あるいは都合よく忘れたことにしていた情けない自分を自覚する。ゲームと現実の両方が、主人公の閉ざされた世界を広げ始める。
軽めですがヒューマンドラマ的な要素があるため「ニートの更生物語なんてクソ」派の人には合わないかもしれません。
ジャンルとしては一人称視点の防衛ゲーム。
リアルタイム進行のゲームで暮らす村人を守るためにニートがほぼノーチートで頑張る物語です。
そこそこのボリュームに、良くまとまったプロット。世界の謎も割と早めに明らかになります。
村づくりと聞いて思い浮かべるテンプレ内政発展な要素はなく、毎度オリジナリティのあるぶっ飛び展開が魅力的です。
仮想世界のアイテムが現実に届いたり、逆に異世界へ一時的に転移したり。リアルと仮想のクロス展開で面白さが光ります。
敵方の登場人物は割とゲスの極み。主人公ズのピンチに手に汗握ります。後を引く鬱展開がないのは救いですね。スカッとさわやかゲスの成敗シーンもございます。
【NHKにようこそ】で家にミサキちゃん来てくれと願った人。ラピュタ見た翌日に空を見上げて女の子を探した人。挙手ノノノ
閉塞した日常が変わるきっかけ。多くの人が願う変化。これはそういった一つから始まる、ある意味では出来レースな物語。
でもこれが物語として成立したのは主人公が頑張ったからです。ほっこり元気をもらえる往年のジブリ味ある寂し爽やかな読後感もグッド。
総評としては神作ではないものの、読者の心に残る良作という印象。人によっては刺さるものがあると思います。
全貌が見えない敵に翻弄され、それでももがきながら大切なものに気付き、それを守り抜くため立ち上がれ三十路ニート!
この作品はコミック版も魅力的です。小説版も大幅に加筆&展開が変化しているとのことで、無料ウェブ版が気に入った方は手に取ってみるのも良さそうです。
12ハロンのチクショー道
馬に転生してヤリまくりの種馬目指して競馬場を駆け抜ける可愛くお茶目なお馬さんと、それを取り巻く人々のお話。
冒頭からかなり読める。グイグイ読めます。万人におすすめしたいタイプの小説。
【題材知識のある作者】特有の蘊蓄や、やけにリアルな実況中継。掲示板のレスは読んでいてクフフッとなるし、ためになります。
私の中で小説家になろうに匹敵する神作品群【やる夫で学ぶシリーズ】の傑作を読んでいるときの感覚がありますね。
競馬に興味がない人でも大いに楽しめると思いますが、一度でも馬券を買ったことがある人にはすごく突き刺さるのではなかろうか。
非常に珍しいタイプの小説であり、なろうにマンネリ気味の方には騙されたと思って読んでみて欲しい秀作です。
馬に転生した主人公ですが、元人間であることを主張することはありませんし、一人称での心理描写もごく一部です。あくまでも『とても人間味のある馬』として物語が進行します。
文章は独特ながら安定して高レベル。喉越し良く読み味は軽いです。
全体としての雰囲気はコミカルでありながら、競馬という業界に愛をもって接する人たちの熱がじわじわと伝わってくるようで素晴らしい。
種馬のアレコレで最初はイロモノ小説かな? と思っていましたがまさかの胸熱物語。
見せ場のレース実況はまるで自分が馬券を買ったような気持ちで読める、この小説は大穴です。
世界再生GAME
本格的な異世界デスゲームもの。好みが合う人には垂涎の秀作。
3人称で、文章のレベルもシンプルに高いです。
アッシュクラウン、403シングルルームの作者さんで、とにかく素材というか、舞台設定が極上なのが特徴です。
瘴気に覆われた世界。文明の滅びた世界を再生せよ。明確な答えも、主催者の正体も目的も不明。それでも500万を超えるプレイヤーはその世界へ降り立つ。
強大な敵、高まり続ける瘴気による時間制限。瘴気を吐き出す魔泉、汚染された水源、旧文明の遺跡、複数の異世界から招聘されたプレイヤーなどなど。
デスゲームスキーの背筋をプルプルさせてきやがる・・・。
厳しい世界でサブキャラの死を含めシリアス多めですが、読んでいてきつくなるような絶望描写(裏切り、メインキャラ死亡など)はないため安心して読み進めて大丈夫です。
また、絶望的な環境でも思わぬ裏技的抜け道があったり、工夫の余地が無限にある世界観の設定が素晴らしいです。
それだけに良くも悪くも「もっとこうすれば良いのでは」「なぜこれをしないんだ?」とヤキモキしながら読むことにもなるでしょう。
この巨大な風呂敷では、全ての読者の問いを先回りして潰すことは不可能でしょう。
設定のツメ方は、完璧ではないがガバでもないというベターなカバー具合だと思います。
世界再生を成し遂げてゲームをクリアするには他プレイヤーとの協力が必須という設定もグッド。
各々の手に入れたユニークスキルは特徴的で、キャラの書き分けに一役買っています。
世界を再生させるために多数のアプローチを試行したりプレイヤーの思惑が交錯するのも読んでいて楽しいです。
逆にこの世界観ゆえのマイナスポイントもあります。
文章力は高いですが、どうしても描写が不足、あるいは偏りがあります。
具体的にはキャラの掘り下げや主人公の成長に触れる中盤。必要な掘り下げなのかもしれませんが、世界の謎に圧倒される序盤に比べると「あの謎はどうなったんだ?」「もっとこうした方が効率的ではないか?」となるかもしれません。
もちろん要所でデスゲームらしい展開で飽きさせない工夫がされていますが、個人的にはもっと世界観をガンガン掘り下げてほしかった。
この作者さんの作品で共通する点として、主人公をあえて未熟な、少年らしい設定がされています。
つまり幼さゆえの失敗と挫折、大人からの助言や修行パートなどが発生し、そちらに尺が取られます。
ボーイミーツガール的な甘酸っぱい要素もあり…。
このあたりは好みの問題ですね。
それでも170万文字の長丁場で迎える終盤の山場はさすがのクオリティ。徹夜級です。
完結は、序盤からの大きな課題を一つクリアして「俺たちの冒険はまだまだ続くぜ」エンド。
大風呂敷をたたみ切ったとは決して言えませんが、たしかにここで終わるのも一つの形かなという印象です。
序盤の伏線はおおむね回収しており、ドラクエで例えるなら空飛ぶ乗り物を手に入れたあたりです。
世界の大枠と攻略の方針は既に示されており、これ以上やるなら激烈な新展開を一から構築しなければならないし、正直それは書き手と読者の力を超えてしまうでしょう。
総評として、☆5を確定で付けることのできるクオリティだけど、やはりこの最高の世界観をフル活用してほしかった。
子どもな主人公の恋愛模様を楽しめるかどうかの差は大きい。
ゾンビ映画で、ゾンビそっちのけで人間同士が争いだしたときのモヤモヤが僅かに残ります。
ラストも最高とは言い切れないため、秀作ではあるが神作ではないという印象です。
舞台の味付けが☆6、イベントは☆4~5、恋愛関連は没入できなかったので☆3、合わせて☆5です。
モンスターのご主人様
モンスターのご主人様(1) (モンスター文庫) [ 日暮眠都 ]
これは…すごい作品が来ちゃったなと。
あまりにも丁寧な作品。読むのにやたら時間がかかります。
サクッと俺TUEEを読みたい方にはオススメできません。しかし、間違いなく信者を量産する小説だと思います。
あまりにも丁寧な進行。主人公とメインキャラたちの描写が非常に多いため、必然的にストーリーの進行は遅れる。
そんな、ともすれば読者が見放しそうなペースでありながら、打ち切りの闇に包まれた異世界ラノベ業界において10巻を優に超える書籍化、コミックもしっかりと発売され続けている作品です。これ、すごいことです。
私のレビューも作品につられて長文化しているゆえご容赦を。他の方のレビューも軒並み長文です。なんだかクスッ(*´ω`)
視点は一人称メイン、稀に三人称。
あらすじだけを書き並べたらテンプレです。よくある集団転移、集団パニックと人間不信、魔物とのパスをつなぐユニークスキル…。
作者曰く「初投稿」…絶対嘘ダゾ。いや、なろうが初めてという意味なのでしょうね。
文章がスムーズに頭に滑り込んできます。序盤のエログロ展開、物語の進展に合わせたスキル説明、心理の描写、章を超えた伏線張りを一人称でこなす。
200万文字を超える、実に気合の入った作品です。更新も長く太く、作品への愛が溢れていますね。
人が小説の中に生きていることを感じられます。それなのに描写が自然でクドさを感じさせません。
文章の技量もそうですが、どちらかというと頭の良い人が読者を意識しながら書いているようなイメージです。
本文の前後に作者目線の注釈が入るので、それは少し気になる人がいるかもしれません。
同様に本文前後に差し込まれる小ネタもあり、個人的にはシリアスを緩和する良い清涼剤だと感じました。
さて、繰り返しになりますがこの作品は主要キャラの心情描写に割かれる分量が非常に多く、それにより進行が遅くなっています。
そのため、それを許容できるかどうかで評価が180度違ってくるでしょう。
この作品はというと、ゆっくり進行を大多数の読者に許容させるだけの力を持っています。
描かれるやり取りは自然かつ素直であり、イヤミなく理解ができるため苦になりません。
一言でいえば「納得できる」のです。納得させてくれる作者は信頼できます。
実は雑な伏線張りもあるのですが、多くは最後までに一定の理由付けがされたりと、ケアが手厚いのです。
それでいて、たまにゾクッと来るような深めのテーマを持ち込んでくる。魔物や魔力に関する設定も練り込まれており、読み進める価値があると思わせてくれます。
危機的な状況はいつも突発的に訪れますし、敵は常に格上です。手持ちの戦力は分断、弱体化されているのが常で、ままなりません。
理不尽なチートに虐げられ、世界の全景も霧に包まれ、それでも力を合わせて必死に抗う展開が続きます。平穏は長く続きません。
無双な展開も少ないながらありますし、勇者やスキル、世界の成り立ちなどはなろうファンタジー的な味付けがされていて読みやすい仕上がりです。
ですがやはりこの作品はなろう異世界ファンタジーではなく、シビアな世界を生き抜いていく主人公たちの描写に重きを置いた、人間性を描く作品でしょう。
ラストは世界の謎も明らかになり、明確に伏線を回収するハッピーエンドです。
とにかくヘビーで、読了までにかなりの期間が必要でした。【鬼人幻燈抄】(まとめ2にてレビュー)クラスのヘビーさだった。
大作にありがちな、サッパリ完結に感じて「世界がもっと続いてほしい」という気持ちもセットです。これは名作の宿命ですね。
ただ【モンスターのご主人様】においては、書籍にてウェブ版で拾いきれなかったエピソードが加筆されており、丁寧さが増しているという事です。
無料のウェブ版が気に入った方は、ぜひ書籍やコミック版も読んでみてはいかがでしょうか。
モンスターのご主人様(5) (モンスターコミックス) [ 咲良 宗一郎 ]
僕以外の人類はVR空間に移住した
熱を失いゆく太陽。極寒の地球。
子孫繁栄を諦め、緩やかな滅びを受け入れる人類。
極厚サーロインの一口ステーキ。サクッと読める分量、しこたま詰め込まれたナマリに一人称をそえ。
閉ざされたVR世界に広がるどこか歪な日常の香りと、現実の地獄に縛られた主人公の物語。
夢のある異世界ファンタジーではありません。終焉までのカウントダウン、世紀末ものです。
シリアスでシビアな世界。しかし読んでいて辛さや胃もたれを感じません。終末世界スキー垂涎の秀作。
文章レベルは非常に高い。素直で読みやすい文字の中に、多くの意味ある情報が詰まっています。
仮想の世界と現実の世界を描くときのアレコレを完備しつつ、オリジナリティもあります。
惜しむらくは、なろう王道とは対極にあることか。美少女は出てくるけど…。
ラストは約束されたエンド。滅びを約束された世界が覆されることはありません。
しかし、おそらくハッピーエンドに分類されるでしょう。無駄を削ぎ落した綺麗な完結です。
舞台の設定は高いレベルですが完璧ではありません。
最後まで語られないこともあったし、もう少し広げたり掘り進めてほしいとも思いました。
でも、これでこの世界は終わりました。
終焉を扱う作品に相応しいこの読了感を味わってはいかがでしょうか。
(以下ネタバレではないが読後読み推奨)
仮想現実、宇宙、時間と聞いて浮かぶ作品は何でしょうか。おすすめがあれば教えてほしいです。
この作品を読んでいてなんとなく頭をよぎったのは、トータルリコール、インターステラー、マトリックス、からくりサーカス、マイノリティリポート、最近のだとテネットかな。共通するのは設定くらいのものなのですが、それでも脳が同じ場所に振り分けるこの不思議な感覚。
なろう小説だと【終焉世界】や【灰と王国】でしょうか。ジャンル的に。
フィクションを真面目に考察することの良し悪しは置いておくとしても、近未来SFな世界観だけに、これは良くも悪くも考察が捗ると思います。
たとえば「VR空間で思考加速が実用化しているなら他に解決策あったろ」とか「太陽が消滅する直前はむしろ地球が温暖化していく」とか。
この作品は、たとえば前者の問いには加速化は試験段階、人的資源と工業力の払底による選択肢の減少。後者の問いには世界の描写を曖昧にすることで細かに対応しているように感じます。
一方で、フィクションらしい展開というかタイミングの一致、悪く言うならご都合主義も僅かですが存在するのは事実です。
しかし、これだけ少ない文字数の作品において、このレベルのツッコミどころしか存在しない&こうすればどうだったかなどの議論が起きる時点で、逆説的に非常に完成度の高い小説だと言えるのではないかと思います。
つまり、リアル系近未来SFとしてゴイスー面白かったです(*´ω`)
おすすめ度★★★★
やりなおし貴族の聖人化レベルアップ
闇堕ちして殺された記憶を引き継いだ主人公が、死に戻りに伴い与えられた”システム”によって善行を促され、渋々とシステムに従ううちに内面も善寄りになっていく。
カクヨム一人称。シンプルを意識した、描写は少ないが実はレベルが高めの文章。主人公以外のキャラ描写がかなり少ないのに、ヒロインを筆頭に個性が出ています。
なろう系の良さが機能的にまとめられている、かなりの秀作だと思います。☆5に限りなく近い☆4。
行動は思考に、思考は行動に影響を与える。マザーテレサの名言をなろう風に表現したらこうなるのかもしれません。
前世悪役の時とガラリと変わった言動に、前世では仲の良かった権力癒着マンと険悪になったり、逆にヒーローサイドから好印象を持たれたり。
読み手に気持ち良さを与えつつ、それでいて独善に偏らないバランスがとても良いと思います。
あれ、悪役更生ものとしては主人公がそれなりに善人だな? と思い始めたところで全ての謎が明らかになりいろいろ納得。そこから完結まで突っ走ります。
読後感も良く、サクッと満足感を得られる損をしない小説です。
丁寧な長編とは対極にあるため人によっては駄作だと思うかもしれませんが、私的にはヒットでした。
転生王子と憂いの大国
序盤はテンプレ的な王子転生。頼れる仲間を増やしつつ、汚職だらけの国を少しずつ改革していきます。
三人称。一章ごとに完結させつつ物語が進んで行くタイプの小説です。厳密には未完です。
内政チート的な要素はほぼ出て来ず、どちらかというと足を使って証拠を集めていく刑事的なムーブで進行していきます。
文章は「てにをは」に強烈な違和感があり、脱字も非常に多いです。
一方で物語としてはかなりレベルが高く、読み手を惹き込む力があるためどこかチグハグとした印象を受けます。
完結型のシリーズゆえか、完結で丁寧に練られたプロットとキャラの描写が魅力的で、ダラダラしていないのも好印象。
転生ものではあるものの、安易な内政チートに頼らずに地に足ついた行動によって局面を打開していくのが小気味よいです。
まったく似ていないのですが、読んでいて☆5で紹介したサイレントウィッチをなんとなく思い出しました。
ただ、章ごとに完結しているとはいえ「転生王子」シリーズとして完結しているかは微妙なところ。
心にグッとくるような場面もあるだけに、「てにをは」だけでも推敲して完全な完結まで進めてくれれば☆5で紹介したい作品だと思いました。
ドラゴンキラー商店街
バカで個性的な商店街の草野球チームがわちゃわちゃしながら、聖騎士でも勝てなかったドラゴンをぶっ殺すために命をかけるお話です。
サクッと読み切りタイプ。
身内から容赦なく死人が出るし、いろいろ「それでいいのか?」という展開もあるものの、全体としては軽く爽やかな読み味です。
主要人物は葉っぱをキメてるやつ、自称宮本武蔵の生まれ変わり、おもしろ外人枠、などなど個性的な面々。
おすすめコメントを頂いた方曰くドラマ”下町ロケット”。わかる。ついでに私からは映画”北極基地物語”も追加で。
なんというか、個性的で馬鹿な奴らが喧嘩したり協力したりしながら大仕事を成し遂げるご都合主義日本ドラマを視聴しているような。
それをちょっとダーティにアレンジすればドラゴンキラー商店街になるような。
重い作品の合間に一本、いかがでしょう。
黄金の経験値
ゲーム最序盤に使役というチートスキルを発見した主人公が、他のプレイヤーをぶっちぎった存在になって覇権勢力を築き上げる物語。
大雑把にいえばスタートダッシュに成功したガチ勢のネトゲプレイ日記。女主人公、人称は若干の難あり。
かなりの長編であり、ひたすら設定の説明や考察が続いたり誰の発言かわかりにくい時があったり物語が進まないこともあったりでリタイア要素は多め。
とはいえ文章そのものは読みやすくレベルも高いと思います。
序盤から眷属を従え、イベントなどで無双します。
人類を〇しまくる魔王プレイであるため残酷な描写はほとんどないですが、読む人を選ぶかもしれません。
配下を育成進化させて配置したり、それによって主人公が成長したりといったダンジョンメーカー、戦略シミュ要素が好きな方には刺さる小説だと思います。
物語の合間に挟まるゲーム掲示板でのやりとりや他プレイヤー視点では主人公サイドが客観的に描かれているのも面白いです。
主人公のガバ行動が運営の思惑だと勘違いされたり、双方の考えを神視点から俯瞰で眺めるのも醍醐味と言えるかもしれません。
良くも悪くも大長編らしいというか、書き分けはされているものの、どうしてもキャラが多くなるため一人一人が薄く感じますね。
また基本的に主人公ズは最強なので、山と谷は一般プレイヤーサイドにしか存在しません。
戦略シミュレーションゲームの自動プレイで、自軍が勢力を広げていくのを眺めて悦に入る感覚で読み進めるのが楽しいと思います。
ラストも区切るべきところで区切った完結だと思いますが、人によっては駆け足に感じるかもしれません。
平均を超えた作品ではありますが一長一短な要素が多くあり、そこを楽しめるかで評価が分かれる小説だと思います。
むらさきひめ
甘酸っぱくもほろ苦い青春の苦悩。
ほとんどの人にとっては苦笑いで思い返せる思い出。
でもその時を生きていた時はこれ以上ないくらいに真剣で。それこそ命を賭けたり、時に失ってしまうほどに。
強い想念ゆえに、あるいは反対に年相応の好奇心ゆえに。心の表裏に怪異の影。
大筋では、怪異を滅する怪異(主人公?)や、怪異に巻き込まれた少年少女のアレコレです。
視点を変えつつ、そんな短編完結を数珠つなぎにして描かれる物語です。
一言で表すなら…救いのある地獄少女?
オカルト系ですが、心のやり取りに重点が置かれていてホラー成分は薄いです。
文章はしっかりしているけれど、再序盤の説明調や、人物の相関関係がけっこう難しいためかなり集中して読む必要がある小説です。
散乱しがちな物語も読み進めるうちに収束してくるため、難しくても読み進めてみるのも良いと思います。
ラストもなかなか痺れる良い結末です。
人によっては青春のトラウマを抉られるため気軽ななろう系読みたい勢にはオススメできませんが、じっくりと感傷に浸りたい気分のあなたにはおすすめの作品です。
湯沸かし勇者の復讐譚 〜水をお湯にすることしか出来ない勇者だけど、全てを奪ったお前らを殺すにはこいつで十分だ〜
村娘が勇者として城に呼ばれ、能力が悪いからと次の勇者期待で村ごと壊滅させられ、死にそうになったけど実は強かった能力で復讐ルート。1人称メイン。
シナリオは良く言えば王道復讐もの、悪く言えばテンプレ寄りです。とはいえ、読み味はスッキリしていて、復讐ものにありがちなクドさ、臭さはありません。
軽めのグロ描写、味方には優しいけれど、敵には容赦のない少女復讐者、奴隷の少女とのキマシ百合が含まれています。
百合要素は入門向けというか、主人公含むカップルズに女々しさがあまりないためガールズラブな展開が苦手な方でも大丈夫だと思います。
…なんとなく【お前ごときが魔王に魔王に勝てると思うな~】とかいう最大級の問題作(誉め言葉)を思い浮かべるあらすじですね?
安心してください、あの読者を罠にかけてブジュッグジュリするような毒はありません。
話の持って行き方が良くも悪くも素直でシンプルなため、読んでいて鬱になることはありません。
テーマがブレず文とノリが安定しているため、序盤のペースが気に入れば最後まで楽しく読めると思います。
逆に視点の頻繁な変更や、理由付けは一応されているものの「普通その判断はしないのでは?」というようなガバポイントもあるため、違和感を感じるようであれば長さも相まり飽きが来るかもしれません。
どちらかというとキャラゲー寄りの、ライト百合異世界ハッピーエンドな長編をご所望の方へおすすめです。
悪魔公女 〜ゆるいアクマの物語〜
ぅゎょぅι゛ょっょぃ
一人称たまに三人称。
最強で悪魔な幼女がもはやなろうの概念世界と化した中世ヨーロッパ異世界でわちゃわちゃする小説。
ちょっとゆるふわでほのぼのしすぎかなー? …からのスプラッタァ! でも終始コミカル進行。
序盤構成は難あり。場面転換や使い捨て名詞がポンポン出てきて把握しにくいです。
ただこの作品はキャラゲー寄りというか、世界の勢力図なんかは流し読みで大丈夫だと思います。
文章も全体に粗いところはありますが、幼女悪魔視点で新鮮に読み進めることができます。
幼女主人公は基本的に最強でサイコ入ってますが、鼻につくような感じはしません。なんとなく転スラっぽい雰囲気があります。
そんなかんじでサクサク読める小説ですが、なろう日刊スナック菓子よりは噛み応えがあり、コンビニの298円のお菓子を食べているときのようなちょっぴり贅沢感で読めます。
序盤に比べ、中盤からは構成と文章が安定してくるし、スポットも絞られてくるので好印象。
ラストの勢いも結末も個人的にはとても好みで、気持ちよく読了できました。
二部として続編があるようですが、一部の段階で充分完結だと言えるため、ここまででご紹介です。
おすすめ度★★★
最強で最速の無限レベルアップ ~スキル【経験値1000倍】と【レベルフリー】でレベル上限の枷が外れた俺は無双する~
タイトル通り。完結しているだけでありがたい現代ダンジョンもの。一人称。
章ごとにヒロイン的な女性が登場し、無双主人公とダンジョンに潜ったりします。
サクサク読めるものの、キャラや政府の下す判断や世界観の設定はガバガバガバであり、日刊なろうランキングのスナック菓子的な楽しみ方をするのが良さそうな小説です。
ラノベ初心者の方か、なろう耐性がある方向けです。
世界の謎は明らかになりますが特に深くはないですし、シナリオを通じて絡んでくるキャラもいません。
中盤以降は突然異世界片が始まり、いろいろ投げっぱなしで完結します。
正直なところ紹介するか悩んだものの、なんだかんだ最後まで読めたので☆3にてご紹介です。気軽にどうぞ。
マイナスファンタジー
最初が意味不明すぎるデスゲーム&並行世界バトルロワイヤル。3人称。
剣と魔法、ロボに妖精、暗殺者。果てはテンプレギャルゲにパズ〇ラ風の世界まで。
俺の考えたぶっ飛びオリキャラ達が神を名乗る彼女に拉致され強制デスマッチ。
文章は比較的読みやすいが、序盤は情報が多すぎて理解が追い付かないおじさんには辛いなろう小説だと思います。
そのまま疲れてリタイヤする読者が8割超えていそうですが、そこを乗り越えたデスゲーム開始後はキャラの理解が爆速で進み、味が出てきます。
これだけごちゃまぜの設定を出して、しっかりと走り切ったのはそれだけですごいと思います。序盤のカオスさえ乗り切れば中盤から面白くなっていくタイプですね。
文章量はラノベ一冊分くらいですが、多様なキャラたちがわっさわっさするため体力のある時に読むことを推奨します。
ラストは好き。ハッピーエンドと言えます。
異なる世界のキャラたちが交わり、最初と最後で少しずつ互いに影響を与え合っていたり、やっぱりそのままだったり。
作風としては非常に珍しいタイプの作品で、オリジナリティがありますが読む人は選びます。それでも最後まで読めればちょっと得した気分になるかもしれません。
俺の考えたオリキャラ達がデスマッチ! な一冊完結のラノベを読みたい方へおすすめです。
チートで賢者な俺は異世界に革命を起こす
1話読む
こ れ は ひ ど い
中盤まで読む
こ れ は ひ ど い
最後まで読む
こ れ は ひ ど い
なぜ最後まで読んでしまったのか。
常人には書くことのできない小説です。腹筋と頭が痛いです。いろいろ崩壊しています。
全体文字数はラノベ0.5冊分くらいの、気軽に読めるネタ作品です。たぶん作者さんは狙って書いています…たぶん。
重めのガチ作品に疲れた時に読んでみてください。ネタをネタとして楽しむ心を持つ方のみにおすすめです。
最初のノリが最後まで続くので、補給を済ませたら任意離脱しても良いかなと思います。
面白いと感じたら、なろうの感想欄も覗いてみましょう。大体の人がネタを楽しんでいますが、中には皮肉を言おうとして滑っていたり、ぶっ飛んだ作風にマジメに感動している方もいます。カオスです。
私も中盤まで読んで、作者さんがどこまで意識して書いているのかわからなくなってきました。SUN値が削れていきます。
俺様自己中主人公だとか、アゲアゲイエスマンヒロインズだとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ濃厚ななろう煮込みをあなたへ。
世界でただ一人の魔物使い~転職したら魔王に間違われました~
一人称メイン、たまに他人視点の3人称。
元最強勇者が魔物使いになっていろいろ勝手気ままに振舞ったり建国したりする。
文章はサクサク読めて、可もなく不可もなく。
キャラや世界の設定に知識や行動が伴っておらず、やっつけ感やツッコミどころが多い。
主人公は子どもの身勝手さがあり、悪い意味で傲慢だし、方々で理由付けが甘いため主人公に共感し辛いです。
特に、紆余曲折ある人生を歩んできたであろう人間をあっさり魔物にしてイエスマンにしてしまうのが、モヤっと感が半端ないため読む人を選ぶでしょう。
ゲス行為そのものは、それはそれで良いのです。でも、それをモヤっとさせないための文が全くないのが辛いのです…。
ただ、他国との外交パートでの描写から主人公のガキっぽさは作者の意図したものではあるようです。
王国との外交パートは面白く、悩んだけど読み進めることに。
結論としては、完結まで読めたけど満足感はイマイチ。
設定を生かし切ったとは言えないし、キャラも掘り下げられておらず、全てが半端に終わります。
強い仲間が増えた!俺も仲間も強くなった!なめくさった敵をボコった!などなろうらしい楽しみ方はできるけど、なろう臭さがキツすぎるかもしれません。
書籍化、コミカライズまでされているため、ファンの方も多いのだとは思います。私には合いませんでした。
※この記事にあるレビューは2021年更新分のみです。
2018年~の過去作レビューは↓にまとめています。
過去の完結レビューまとめ1
サラリーマンの不死戯なダンジョン ☆5
無欲の聖女(旧題:無欲の聖女は金にときめく) ☆5
玉葱とクラリオン ☆5
五つの塔の頂へ ☆5
らすぼす魔女は前世の最萌を飼い殺す ☆5
グリモワール×リバース~転生鬼神浪漫譚~ ☆5
「お前ごときが魔王に勝てると思うなとガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい ☆5
おっさんたちの戦いはこれからだ!〜勇者パーティーの初期メンバーだった商人は勇者を使い捨てた大国にブチギレました。 ☆5
ネトオク男の楽しい異世界貿易紀行 ☆5
迷宮と掲示板 ☆5
町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~ ☆5
笑顔で魔力チャージ~無限の魔力で異世界再生 ☆5
盾の勇者の成り上がり ☆5
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 ☆5
幼女戦記 ☆5
転職の神殿を開きました ☆5
魔王さまのまちづくり!~最強のダンジョンは近代都市~ ☆5
この世界がゲームだと俺だけが知っている ☆5
セブンス ☆5
公爵令嬢の嗜み ☆5
転生したらスライムだった件 ☆5
無職転生 -異世界行ったら本気出す- ☆5
ソード・オブ・ベルゼビュート ☆4
目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜 ☆4
紅の死神は眠り姫の寝起きに悩まされる ☆4
戦姫アリシア物語(機動強襲型令嬢アリシア物語) ☆4
平和の守護者(書籍版タイトル・創世のエブリオット・シード) ☆4
骨骨ダンジョン作りかけ ☆4
悪役令嬢は旦那様を痩せさせたい ☆4
殺戮のダンジョンマスター籠城記 ☆4
千のスキルを持つ男 異世界で召喚獣はじめました! ☆4
小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋 ☆4
私は戦うダンジョンマスター ☆4
予言の経済学 ~巫女姫と転生商人の異世界災害対策~ ☆4
闇ギルドのマスターは今日も微笑む ☆4
403 シングル・ルーム ☆4
セーブ&ロードのできる宿屋さん ~カンスト転生者が宿屋で新人育成を始めたようです~ ☆4
火輪を抱いた少女 ☆4
死神を食べた少女 ☆4
人狼への転生、魔王の副官 ☆4
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ ☆4
八男って、それはないでしょう! ☆4
自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う ☆4
俺だけ帰れるクラス転移 ☆4
まのわ~魔物倒す・能力奪う・私強くなる~ ☆4
エルフ転生からのチート建国記 ☆4
ぼくは異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける ☆4
万年Dランクの中年冒険者、酔った勢いで伝説の剣を引っこ抜く ☆4
LV999の村人 ☆4
マヌケなFPSプレイヤーが異世界へ落ちた場合 ☆4
軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? ☆4
詰みかけ転生領主の改革 ☆4
堕落の王 ☆4
異空のレクスオール ☆3
クラスメイトに殺された時、僕の復讐は大体達成された ☆3
ダンジョンを造ろう ☆3
異世界のカード蒐集家 ☆3
ヒール最高 ☆3
オットー・フォン・ハイデッカーはゲーム脳 ☆3
アビス・コーリング~元廃課金ゲーマーが最低最悪のソシャゲ異世界に召喚されたら~ ☆3
異世界でアイテムコレクター ☆3
異世界は赤い星と共に ☆3
平凡なる皇帝 ☆3
魔王の器 ☆3
火刑戦旗を掲げよ! ☆3
NO FATIGUE 24時間戦える男の転生譚 ☆3
過去の完結レビューまとめ2
十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる (個別記事あり)☆4
町人Aは悪役令嬢をどうしても救いたい (個別記事あり)☆4
世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) (個別記事あり)☆5
最強呪族転生 〜チート魔術師のスローライフ〜 (個別記事あり)☆5
サイレント・ウィッチ (個別記事あり)☆5
死霊術師の人型兵器開発(個別記事あり)☆5
ふつつかな悪女ではございますが (個別記事あり)☆5(※web版公開終了しています。メディア展開のため)
病毒の王 (個別記事あり)☆4
Ash Crown ‐アッシュ・クラウン‐(個別記事あり)☆5
俺のメガネはたぶん世界征服できると思う。☆3
現実世界に現れたガチャに給料全部つぎ込んだら引くほど無双に ☆4
夜伽の国の月光姫 ☆4
魔王様観察日記 ☆5
本能寺から始める信長との天下統一 ☆4
鬼人幻燈抄 ☆5
異邦人、ダンジョンに潜る ☆5
中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います! ☆4
武姫の後宮物語 ☆4
役立たずスキルに人生を注ぎ込み25年、今さら最強の冒険譚 ☆5
作家になりたい人が多すぎる ☆4
少女の望まぬ英雄譚 ☆5
嘘つき戦姫、迷宮をゆく ☆4
灰と王国 ☆5
日本にダンジョンが現れた ☆4
終焉世界 ☆4
勇者、或いは化物と呼ばれた少女 ☆5
ハルジオン~口だけ野郎一代記~ ☆5
フシノカミ ☆5
魔術学院を首席で卒業した俺が冒険者を始めるのはそんなにおかしいだろうか ☆4
処刑された賢者はリッチに転生して侵略戦争を始める ☆5
スキル『市場』で異世界から繋がったのは地球のブラックマーケットでした ☆5
若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です! ☆4
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です ☆52019/11/15 ブレーメンの屠殺場 ☆5
ノームの終わりなき洞窟 ☆5
異世界行商譚 ☆4
魔剣鍛冶師になりたくて ☆4
2021年のご挨拶
こんにちは。なんだかんだでまとめ記事を書き始めてから3年目に突入しました。
あいも変わらずなろう系のラノベを読み続け、気づけばまとめ作品が100作を超えています(;'∀')
「なろうのランキングはあてにならないし、参考になるまとめあったらなー」→「自分で作るか」 から始まったこのまとめ記事。
当初の予想を超えて多くの反応を頂き、とても嬉しく思っています。コメント、全て読ませてもらっています。
最近ではコメント欄で面白い作品を教えてもらえるため、自分で小説をスコップする時間が大幅短縮されて助かっています。
今年も私も含むなろうファンが未だ読んでいない傑作小説を発掘する機会を作っていければなと思いますので、どうぞよろしくお願いします('◇')ゞ
メタ的なお願いですが、今年度はこの記事をメインに更新を続けますので、ブクマを追加していただければ嬉しいです(*´ω`)かしこ
カエデ
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