ライトノベル、ネット小説で異世界ものの小説が多いのには理由があります。
トラックに跳ねられて死んだと思ったら神様がでてきた!
寝て目が覚めたら知らない草原だった!
などなど。
もはやネット小説の主人公ですら異世界テンプレの存在を知っているのが当たり前なこのご時世です。
転生と転移の違いはあれど、なんでこんなに異世界ものが多いのかなーと疑問に思っていたのですが、自分で小説を書いてみて納得しました。
なろう小説やカクヨムを漁りまわり、ついには作者デビューしてしまった私がネット小説の主人公はなぜ異世界へ転生させられるのか作者視点で考えてみました。
流行っていて読んでもらえるから
読者が求めているから。まずはこれです。
なぜこんなに異世界ものが人気なのか考えるのはまた別の機会にするとしても、作者としては小説を書く以上読んでもらいたいと思っています。
作者がネット上でたくさんの人に自分の小説を読んでもらおうと思ったとき、メジャーなジャンルで投稿することが一番の近道になっています。
なろうにおいてはそれが異世界ジャンルで、その中でもファンタジーと恋愛に人が集まります。
逆に過疎ジャンルはかなり厳しいです。最初に投稿した時の読者の数が桁違いなのです。
だからできるだけ流行りに合わせようと異世界もののファンタジーや恋愛を選ぶ人が多いのですね。流行が流行を呼んでいる状態です。
プロ作家の中にはとりあえず転生テンプレで読者を呼び込んでから自分の世界へ誘導するというテンプレ詐欺を仕掛けてくる人も。
まぁそこはプロの仕事。誘拐された読者さんは幸せになって帰ってくるからウィンウィンなのかもしれません(笑)
裏を返せばプロの作家ですら異世界ものでないと芽が出ない可能性があると判断しているということだと思います。
話を進めやすいから
異世界に主人公を放り込めば、すぐにでも見せ場を作ることができます。
ゴブリンや盗賊とバトルさせるもよし、空からこんにちはした勢いでヒロインにラッキースケベをかますも良しです。
ネット小説の読者はすぐに楽しさを感じられないと帰ってしまう人が多いので、
慣れた作者はすぐに話を進めて「この作品はこんな味ですよー」と自己紹介をする人が多いです。
書いていてワクワクするから
主人公に自分を重ねて感情移入する作者は多いと思います。
自分が剣と魔法のファンタジー世界に転生したらどうするかと考えたことがある人は多いですよね。
ピンチの女の子を助けたり、残業ばかりの毎日にさよならして悠々自適なスローライフを送ってみたり。
そういった”もしも”の世界を考えるのは楽しいものです。
それが高じて小説を書き始める人が多いのも、異世界ジャンルが流行する一因なのかなと思います。
小説初心者向きのジャンルで書きやすいから
異世界転生ものは間違いなく初心者に優しいジャンルだと思います。
なぜならば…
難しい人間関係がリセットできる
小説を書くにはいろいろと人物設定を考えなければなりません。
少なくとも主人公がどんな人物でどんな経験を積んでいるかなどはあらかじめ考えておく必要があります。
しかし異世界転生なら、家族は別の世界の彼方です。
つまり主人公の交友関係などの設定をまったく考えなくても小説を書き始められるのです。楽ですね。
異世界に飛ばされた時点で家族を含む人間関係はリセット。
前世の人間関係を異世界に持ち込むかは作者の自由です。
そもそも主人公は記憶喪失ということにでもしてしまえば後の伏線にもなるし一石二鳥ですね。
登場人物にしても、必要になったら主人公が出会うように仕向けて、その順番にキャラを出していけば最小限の人物設定でスタートできます。
スケールがでかい!気がする
異世界転生なら、物語が始まった時点ですでに地球のある元の世界と異世界という二つの世界が存在します。
それだけですごいのに別の世界には魔法があって獣人がいて神様がいて…などなど、とにかく何でもありでスケールが大きいです。
もちろん現実世界でもできなくはないけど、難易度は跳ね上がりますよね。
「どうせ小説を書くなら自由で大きな物語にしたい!」と考える人は多いでしょう。
スケールが大きいと逆に書きにくくなるんじゃないかと思いますが、意外とそんなことはありません。
小説で描写できる範囲は作者が文字にした部分だけです。
前世での経験をキャラの行動の理由づけにできる
主人公は前世で暗殺者をしていた。だからこの異世界で盗賊に襲われても余裕で撃退できます。
作者は前世で経済学者でした。だからこの世界で商人になって経済を牛耳ります。などなど。
面倒な修行パートをすっ飛ばし、主人公は作者にとって都合の良い力を獲得することができるのです。
現実世界が舞台でも同じこと出るんじゃないの? と思いますが…。
主人公が総理大臣だったとします。すごい例えですが。
物語が始まったのは主人公が元総理になってからです。
主人公は総理大臣ではなくなったので昔からやりたかったこと、ここではコンビニのアルバイトにしましょうか。
元総理はコンビニのアルバイトを始めました。
それはそれでおもしろい小説になりそうですが…。
ただこれ、すごく話を書きにくいです。
まず現実では考えられないことですので、読者が違和感を感じないように配慮する必要がでてきます。
同じバイトにかわいい女の子がいても、元総理の主人公に気軽に話しかけられるはずもなく。そもそも店長が恐縮してしまいますよね。
読者置き去りのフリーダム小説にするのならそれでも良いと思いますが、初心者向けではないですよね。
しかし異世界ならしがらみを排除して経験値だけ持っていけるのです。
経験値だけを持った状態で転生させられるから、主人公が総理大臣であったことを知る人はいなくなります。
主人公が小さな店で仕事を始めても不審に思う人はいません。書きやすいですね。
これで主人公がすごい仕事をこなしても、「ああ、元総理だから当たり前だよな」とならずに「何者だこいつすげええええ!」という山場に持っていけるわけです。書きやすいですね。
話が脱線しましたが、つまり異世界転生だと主人公に気軽に属性をつけることができるというわけです。
前提知識がいらないから初心者でも書きやすい
異世界テンプレに従えば世界観の構築が非常に楽です。
たとえば主人公がサッカー少年ならサッカーに詳しい人でないと小説を書けません。
無理やり書いたら矛盾が出たり、薄っぺらい小説になってしまうでしょう。
しかしテンプレ異世界転生ならば、「中世ヨーロッパ!剣と魔法!魔物と貴族!」のようなふんわりとした世界観がすでに存在していています。
読者も世界のイメージをしやすいため最低限の説明だけでストーリーを進行できます。
近年では舞台説明ほぼゼロでひたすら話を進める人気小説だってあります。
異世界テンプレのなろう小説だからこそのパワープレイですね。
舞台である異世界はファンタジーであり、作者の知っている知識だけで物語を作ることができるのです。書きやすいですね。
異世界だからで矛盾をなかったことに
え?武器を握ったこともない若造がベテランの兵士相手に無双するのはおかしい?
…。
この世界では魂が肉体を凌駕するんだよおぉぉぉ!
これは異世界というか、ファンタジー全般で使える必殺技だと思いますが…。
異世界ファンタジーというジャンルなら、作者の得意分野を現実のまま創作である異世界の中に持ち込むことができるため、より自由な設定を作り出すことができたりします。
多少おかしなことがあっても「この世界はこういう法則で動いているから!」とそれっぽく説明すればそれが真実になります。
※もちろん極端な例です。なんでもありというはずないですよね。最近は読者の目が肥えてきているため半端な描写があると即ブラウザバックされます。
先人の築いたテンプレでネタに困らない
ネット小説を書く人にとっての師匠はネット小説です。
偉大な先輩の作品のネタをパク…参考にすれば、それだけで序盤に困ることはありません。
突然の死、スキルもらって転生、魔物倒して人を助けて仲間をつくって、それっぽい敵が出てきて苦戦して、もらったスキルや前世の経験無双で敵を倒してハッピーエンド!その合間に異世界知識でお金儲けをしたり、カタナを作ったりお米を探してみたり。
書きやすいですね。
異世界ブームってどこから来てるの?
わかりません。というか答えはないのでしょう。
どれが元祖かと言い出したらキリがないですよね。
主人公が異世界へ飛ばされてしまうような小説は古今東西大量に存在するわけで。
ちなみに私はゼロの使い魔からライトノベルの海へやってきた人です。まさか完結するとは感無量ですな…。
なろうから読み始めた人なら、やっぱり無職転生がスタートだったりするのかな?
まぁブームの始まりはさておき、流行するようなジャンルには、やはり何らかの理由があるようです。
もしかしたら私が気付いていないだけで他にも理由があるのかもしれません。
今から小説を書いてみようかなという人は、まず気軽に書きやすい異世界ジャンルに手を出してみてはいかがでしょうか。
完結済み、面白いおすすめネット小説をまとめています
私が200作品ほど読んだ小説の中からおすすめをまとめていますので、良ければ下の記事ものぞいてみてくださいね。それでは。
カエデ
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