病毒の王とは
小説家になろうに投稿されている無料ネット小説です。本編完結済み。
レビューは多いが離脱者も多め。百合×人類絶滅戦記な評価の分かれる作品です。
読んでみた感想や、どんな小説を求める人におすすめかを紹介していきます。
※この記事は4分で読めます。
病毒の王はどんな話?
人類軍に魔力タンクとして異世界召喚された主人公が魔王軍側に寝返り、魔王軍最高幹部の病毒の王となって3年で人類絶滅を目標に行動を始める物語です。1人称メイン3人称アリ。
ただし主人公の少女は貧弱でオーバーロード的な無双展開はほぼありません。弱小種族とされたドッペルゲンガーなどを用いた情報収集やインフラへの打撃など、卑劣な手で人類軍の力を削ぎ落としにかかります。
その活躍により畏怖と敵意を集め、それを受容しつつもプライベートで有能ヒロイン褐色エルフメイドさん含む仲間たちとガールズラブありのイチャコラをします。
イチャコラ内政パートとシリアス人類ボコされパートが交互に繰り返されながら物語は進んでいきます。
この作品にタグをつけるなら
百合、もふもふ犬、忠デーモン、人類絶滅、なんちゃって戦記、昔懐かし同人ノベル、褐色ツンデレメイドさん、ご都合主義、恋愛、ハッピーエンド、ちょっとだけ残酷な描写あり
挿絵あり。同人愛を感じる作品
「小説を書きたいから小説を投稿した」というよりは「書きたい世界があったから書いた」というタイプに見えます。
章や節目ごとに挿絵イラストなどが挟まれています。イラストアレルギーがある方には向かないかもしれません。
作品を通して感じる【一昔前の同人ノベルゲーム】の雰囲気が懐かしく、全ての物語を新鮮に感じていた昔を思い出しました。一発狙いの大喜利日刊ランキングにはない硬派なタイプです。
グロや百合の密度など注意点
【病毒の王】には百合やグロ要素が含まれます。
シリアス&グロ展開について
タイトルから想像するような容赦のない展開はそれほどない。あったとしてもだいたい敵側の人類が背負います。
行為としては病毒の王直下の軍団が非戦闘員を暗殺&殲滅したり、神を信じて山越えにチャレンジした集団がひどい目に遭ったり。人死にはあるものの描写は軽め。なろうファンにとってはマイルドな方だと思います。
百合、ガールズラブ要素について
主人公の少女は基本的には後方から指示を出します。仕事をしていないときはヒロインの褐色エルフメイドさんをツンからデレに変えるべく頑張ります。他にも数名の女性キャラクターが登場し、割とワチャワチャしています。
百合パートの分量はかなり多く、全体の5割近いかもしれません。ガチレズ的な濃厚描写はありません。いずれもイチャラブの範疇だと思います。
とはいえ【主人公少女の葛藤】や【病毒の王宣言】を含めてそれらお屋敷パートがしつこいと感じる方もそれなりにいると思います。
ですので万人向け小説とは言えないかもしれません。刺さる人にだけ刺さる作品だと思います。
作者あらすじ
「――何を望む?」
魔王陛下に、彼女はそう問われた。
「メイドさん付きの屋敷を下さい」
魔王陛下に、彼女はそう答えた。
人間と魔族が絶滅戦争を繰り広げる異世界に召喚された、何の力も持たず、自分の名前も失った一般人女性。
彼女はその約一年後、魔王軍最高幹部、"病毒の王"――ロード・オブ・ディジーズと呼ばれていた。
そして彼女は、この世界で生きていくために、必要な物を全て手に入れた。
"病毒の王"という名前を。
最高幹部のお給料を。
郊外のお屋敷を。
可愛いダークエルフの専属メイドさんを。
幸せな日常を。
そのためなら、きっと、人類という種族を絶滅させる事なんて、安いもの。
彼女は、"病毒の王"。
種族、人間。
目標、人類絶滅。
病毒の王の感想やジャンル、特筆すべき点
まず、繰り返し出てくるフレーズが思わせぶりな展開と合わさった文章は少し鼻について感じました。でも逆にそれが好きな人も多いと思うため判断は難しい。
読み続けるかは少し悩んだものの、面白い要素をしっかりまとめてちゃんとした説明も加わった1章最後と合わせて最後まで読むことを決意。
生贄、人死などのシリアス展開はありますが、それは主に敵側が背負いますのでタイトルの割には重くありません。
物語の構成としては、病毒の王として魔王国で立場を築いた少女がソフトイチャ百合をしながらその裏で圧倒的な不利的状況にある魔王軍を存続させるために人類の最精鋭部隊を壊滅させていくお話です。
「そうなるか?」と突っ込みどころが生じる程度には構成が甘い部分はありますが、随所に差し込まれた挿絵など一昔前の同人オリジナル小説感が心地よく、作者の作品愛を感じるのがとても良かったです。
ガチな戦記としては苦しいものの、物語としてはまずまず面白いし文章も素直で読みやすいです。
荒とクドさはありつつも、それを補う名シーンもいくつかあります。個人的にはラストバトル前後のスケルトン軍団とのやりとりは良かった。やはり王道は正義。
ラストもご都合主義はあれど、掲げたテーマを最後までやり切った良い完結だと思います。
軽度の百合、ある程度のご都合主義を許容できるならガツガツ読める良作だと思います。
他の感想やレビューの声
※なろう本家レビューより抜粋しています。
・人類の残酷さをその身をもって知った恐怖の王の物語(ほのぼのもあるよ)
・とてつもなく非道で、とても愛に溢れる主人公
・人類絶滅を目標にする非道の悪鬼率いるアットホームな職場で面白おかしく
小説・作者情報
作者:水木あおい
人称:1人称メイン+3人称
文字数:110万文字(ラノベ7冊相当)
連載状況:完結
作者キーワード:R15 ガールズラブ 残酷な描写あり 異世界転移 オリジナル戦記 恋愛 ハッピーエンド 百合 主従百合 ほのぼの ダーク 女主人公 魔王軍最高幹部 メイド ダークエルフ もふもふ・モフモフ 西洋・魔法 人外 ダークファンタジー
作者設定ジャンル:ハイファンタジー〔ファンタジー〕
書籍化やアニメ化、コミカライズ情報
書籍やコミカライズ情報 アニメ化はあるのでしょうか?
2020年10月時点でメディア展開に関する情報は確認できませんでした。
作者の水木あおい先生が現在でも同作品のEX物語を投稿されていること、固定のファンの方もいることから今後可能性はあるかもしれません。
作品に含まれる要素的には書籍化しやすそうだと感じますが…。いくつか構成を見直せば十分に通用するとも思います。
とはいえ現実的には現在のなろうでの評価ポイントは約18000ポイント。現時点での累計完結済み作品の300位が43000ポイントであることから、どこぞの出版社さんの目に留まらない限りは厳しそうです。
↑【みてみん】にて挿絵イラストを確認することができます。
もしコミカライズなど他メディア展開された場合は↓コメント欄にて教えて頂ければ幸いです。
病毒の王の感想まとめ
総合評価は☆4
万人受けはせず、構成が甘いところはあると思います。
それでも気に入る人はとても気に入る作品だと思うし、実際それはレビューの多さからも伺えます。
見切り点としては、ひとまず1章のラストまで読んでから判断すればよいでしょう。
個人的には作品愛と昔懐かし同人ノベル感が楽しく、新鮮な気持ちで最後まで読ませていただきました。
水木あおい先生の他作品紹介
【ブラックドッグのいる日常】という短編小説が一つ完結表示になっていますね。
他に作品は確認できませんでした。
まとめ記事のリンク
↓作品にて私が面白いと感じた小説たちをレビューしています。
カエデ
最新記事 by カエデ (全て見る)
- 【2023年更新】なろう小説完結おすすめまとめ【ランキング以外マイナー多め】レビュー - 2023年6月1日
- 【2022年更新】なろう小説完結おすすめまとめ【ランキング以外多め】読了レビュー - 2022年2月9日
- 【2021年更新】なろう小説完結おすすめまとめ【ランキング外多め】 - 2021年1月4日