私が読んだ中から面白い無料で読める完結済みネット小説を紹介しています。
なろう系が多めですが、カクヨムやSS掲示板関連の作品もあります。
完結レビュー記事数は2022年までで146作品(過去1)・(過去2)・(過去3)・(過去4)
2023年は現在12作品のレビューがあります。
こんな方へおすすめです
✔ランキング外のもっと評価されるべきマイナー名作を知りたい
✔イヤみのない異世界転生とか俺TUEE系をお探しの方
✔完結・安心して読める面白い小説をお探しの方
✔作品の傾向を知ってから読みたい方
✔コメント欄で感想や良作をシェアしたい方(コメント求む)
・最後まで読めた小説…☆3
・けっこう楽しめた小説…☆4
・尖った魅力を持つと感じた小説…☆5
レビューでベタ褒めしている場合は内心☆6です。読み手によって好みは様々なので表示は☆5まで。
2023レビュー小説一覧
06/01
え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか? ☆5
太っちょ貴族は迷宮でワルツを踊る ☆4
アースウィズダンジョン 〜世界を救うのは好景気だよね ☆5
即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。 ☆4
罔象の杜 (みずはのもり) ☆4
信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 ☆5
転生したら悪魔になったんですが、僕と契約しませんか? ☆5
俺にはこの暗がりが心地よかった ☆4
私掠宇宙船から始める特務軍歴 ☆5
狼は眠らない ☆5
むいむいたん ☆4
悪役令嬢の執事様 ☆5
おもしろい完結作品があればぜひ感想欄にてレビューください。また、読んでみた感想も大歓迎です。
過去作品その1はコチラ
おすすめ度★★★★★
え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?
そんなことしたらどうなるの?
俺が辞めたらこの職場まわらないよ?
がマジのガチだった場合の作品。
後でめっちゃ困るし、有能なワンオペ社員は次の仕事場で伸び伸び仕事して呼び戻せなくなるよね。
辣腕で鳴らしてきた新社長はたしかに有能なんだろうけど、エンジニア関連への理解が低すぎるとこういう不幸なことが起こるよね。
…というサクッと読み切りサイズの現代社畜ざまぁ物語、を超えた希望ある物語。
仕事で、対人でいろんな壁を経験した人に刺さる、モヤモヤを言語化してくれる系の、それでいて読み物としても痛快な快作。スッキリ味。
コンビニに置いてある、自分もたいがい原因があるくせに単にアホなだけの悪者にざまぁをかましてドヤる作品も悪くはないけど、その手の量産品とは一線を画す解像度を感じます。
短さゆえのご都合な展開はあれど、その代わりに得た瞬発力も確かなもの。
エンジニアの仕事が数字で計算できないように、なろう作品にもあらすじや評価で数値化できないものがある。
きっと他にも面白い作品がこんなふうに転がっている。正当な評価…はなかなか難しくても、もっとスコップされて読み手に届いてほしいなと短編ながらエモい気持ちになりました。
詰め込まれた作品であるため元気が出るが疲れもする。
なんというか強烈な口直しとしてしても役立つ一作だなと感じました。
アースウィズダンジョン 〜世界を救うのは好景気だよね
乱立するダンジョンに人類の対応が間に合わなくなって世界分断、地方は見捨てられ都市中心部を残して切り捨てられた現代日本が舞台。
チートな相棒とスキルを得たおっさんがハードボイルドプレイをしつつ廃墟街を拠点に発展させ、やがては・・・という物語。
いわゆる荒廃した世界+現代ダンジョンもの。一人称切り替えと三人称も混じる視点は少し独特です。
文章はてにをはが少々引っかかるが、他は商業レベル。
キャラの設定や展開のさせ方、世界観の構成が秀逸で、読んでいてワクワクするし飽きがこない。
銃火器がしっかり強かったり、謎知識を持つ美少女な相棒がいたり、助けられて感謝する子どもがいたり、格差に曲者、荒廃世界スキーが求めるポイントを押さえてきて良きです。
主人公も野心的で有能と、やれやれ系主人公とは対極にあり世界観にマッチしています。基本的につよつよ主人公であるためイージー進行。
現実は世知辛いぜと嘯く主人公だが、だいたいは現実を知って愕然とする敵をザマる決め台詞である。
とはいえ要所は「そうきたか!」という展開にしてくれるから素晴らしい。
内政パートはあくまでもチートスキルありきなのでメインではない。
またハーレムなベクトルはおっさんに向いているものの、おっさんは塩対応でクールに流すので起承転結の起でちょっと出る程度。
なんというかレビューで多くを語らずとも、現代ダンジョン+荒廃世界でかっこよく無双 そのへんを詰め込んだ物語というだけでもう良かろうと思います。面白いから読んできてどうぞ。
信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略
初期よわよわ設定(詐欺)な主人公がいろいろあって無双になっていく。
さわやか王道異世界冒険記。
イヤミのない異世界ファンタジーはそれだけで素晴らしい。主人公一人称、見せ場で視点切り替えあり。
登場人物にクドさがなく、良くも悪くも異世界特有の面倒なあれこれに深入りしない。
主人公はなんだかんだ序盤から普通にチートな活躍をするし、最初からハーレム模様。しかも鈍感系を発揮しつつガンガン出世する。
それだけ聞くといかにも中身なさそうですが、しかしこの作品はとにかく爽やかです。
文章は読みやすく、正統派でオリジナリティあるかっとび展開は読んでいて気持ちよいし、それでいて臭くない。構成もテンポも程よい。
高値安定のクオリティからくる中毒性が徹夜を強いてくる。許せるハーレム。許せる鈍感系。上質ななろう系かくあるべしという高レベルな物語。
ただ、良くも悪くも中盤以降は主人公無双に偏りがち。
それでもストレスにならない程度の山と谷はあるし、女神とか心中を気軽に持ち出すのに陳腐にならないよう纏めているのでやはりレベルは高い。
ラストも神エンド(直喩)なので、一貫していて好きです。
最後まで”俺たちがなろう小説に求めたもの”を与えてくれる秀作でした。
転生したら悪魔になったんですが、僕と契約しませんか?
死の間際に有力な悪魔の力を引き継いだ主人公が方々へ召喚されて契約を果たすことで出会いと経験を重ね、力をつけ自身の派閥を作っていく。一人称、俯瞰的な語り。
お手本のように丁寧で早く、速い進行。
召喚されて異世界を渡るという物語の特性上、様々な背景や設定が必要になるが、その描写の取捨選択がプロ。
実に分かりやすく自由な世界が満載です。
正統派ナーロッパ世界に現代風世界、果ては悪役令嬢世界にスターウォーズにソンビにデスゲームな世界まで。
主人公の悪魔は召喚者の求めに応じ、その望みを叶える。
望みを叶えれば対価を得て魔界へ戻る。その短編の繰り返しで物語が進行していきます。
本編そのものは全体の半分ほどで完結し、そこからは特に読み切り色の強いおまけの章が始まります。
本編を楽しめた人には引き続き楽しめる続編のような感覚。さいごには本編としての完結もちゃんとあります。
「ここで区切るの!?」となるほど締めが早い短編もありますが、余韻に浸るより次の世界に行けということなのでしょう。
実際次々と面白い話が来るからぜんぜん許せるぞおいとなるという。
主人公は合理的で、良い意味で傲慢。割り切りも優しさも併せ持つ、ある意味なろう小説に最適化された主人公かもしれません。
基本的に善性であり、超越存在として汚いことも多々やらかすこともありますが納得できる理由付けがされるため、そういう物語として楽しめると思います。
周囲の登場人物たちについても同様というか、読んでいてストレスがないです。
やっていることと話の展開は突飛なものではないですが、それでもすごく面白い。
このレベルでハッピーかつ気楽に読める作品が枕元にあると日々が充実しますね。
あえてマイナスを挙げるとすれば、構成上仕方ないとは思いますが、魅力的な配下の出番がもっと多ければなと感じました。
どことなく転スラを想起する読み味です。
おまけの章まで読んで物足りなければ、本編スピンオフの【融合世界】をどうぞ。読み切りサイズで、これまた楽しめます。
私掠宇宙船から始める特務軍歴
軍属の主人公が身分を隠して宇宙海賊となり、敵組織に痛手を与えていく。
おもしろい。かなり面白い。
誤字は宇宙ゴキブリのごとく多いが、表現や設定は違和感を感じさせない完成度を持つというなんとも宇宙海賊チックな出だし。
未来技術に退廃的な海賊成分が混じり、主人公の適応力と相まってあなたが求めていた宇宙カウボーイ成分を補給可能です。
ワクワクできる舞台設定、展開の速さ。主人公は有能かつ汚れ仕事を厭わない。
他の登場人物もキレはあるがエグみなく、ストレスを感じず堪能できるのもよい。それでいて違和感も少ない。なのにやることが斜め上にデカイ。
ハーレムは人工知能、宇宙空間に投げ出された人間は普通に死ぬ。有形無形の戦果の数々。先が気になって仕方ないです。
乙女ゲー世界モブ厳領主
と同じ感覚。読了までの時間が早くなりすぎてまるでワープしているよう。
あえて足らずを挙げるなら、この作品はなろう的だということ。宇宙が舞台の無双ものです。
敵にヤン・ウェンリーがいない銀河帝国メンツが主人公、そして壮大なスペースオペラや群像劇ではなく、あくまでも軍属の主人公サイドに焦点が合っています。
たからこその没入感と進行速度なのですが、そのあたり微妙に成分が違うことに留意されたし。
完結のさせ方も非常に潔し。余韻もクソもなく「第一部完!」な終幕。
たしかに雑なところも散見された。しかし投じた時間を後悔しない、ジャンクな宇宙レーションを貪った気分になれます。
狼は眠らない
無駄を削ぎ落して編み込んだ硬派オブ硬派、ハードボイルド右ストレート異世界冒険譚。三人称。
基本的にはつよつよワイルド狼さんが異世界と迷宮を駆け抜ける物語。薬学も学ぶぞ。
狼さんはチート級に強いが、油断すれば即死する程度には死闘も多い。
小難しい動機なんぞは要らねぇ。冒険、栄誉、お宝だよな冒険パート。
ぽろりとこぼれるギャグと含蓄が懐の深さを感じさせ、物語を美しく彩る。
ガチだよ世界設定。貴族ドロドロ脳みそフル回転パート。正直誰だっけ現象が起きる。
などなど、長編の中で七色に変わる物語でもあります。
主人公は男前。懐に入れた仲間を尊重し、敵はそれがどんな立場であれ叩き潰す。
もともと切れ味カミソリな狼さんだが、長編を経て真の剛剣に成長していく過程も面白い。
あっさりしているようでいて、ちょっとした表現に実力が光る。グイグイ読んでしまう。
あらすじを書きだすといかにもなろうテンプレに映る。眼の玉飛び出る展開はない。しかしテンプレをオンリーワンにできるスキル持ちの作者です。
あっさり片付けるべきところ、余韻を持たせるところのチョイスが実に読み手を刺す。
納得できる俺つえぇ、納得できる勧善懲悪、納得できる傲慢。
なろうで摂取できるなろうタンパク質をふんだんに含む完全栄養食であり、同時に水溶性であり摂取過多にならない。
誰にでも書けそうで書けない作品であり、すべてにおいて高いレベルでまとまっている秀作です。
ただ、ラストは大味かもしれません。舞台が広がりすぎ細かいところに描写が割けない。これはこのレベルの作品でも不可避なのか。
必死に集めた序盤のアイテムが陳腐化するような、空飛ぶ乗り物を手に入れると徒歩冒険のワクワクを失うような。
もちろん投げっぱなしではないけれど、もっと続いてくれればとも思う。そして伝説へ。
実質の完結に後日譚が続くと考えればよいのかもしれません。ラストの展開は次の冒険への布石なのです。
狼さんロスの方は現在外伝が執筆中だということで、そちらへ行ってみると良いかもしれません。
悪役令嬢の執事様
読む栄養枠。
令嬢ものテンプレ世界。有能転生執事である主人公が令嬢の闇落ち処刑エンドを回避するために先回りしまくる話。一人称です。
シンプルながらアクセント混ぜ込まれた文章は、気軽でクオリティ高めのコンビニ微糖ミルクティー。
先回りチートではあるが、主人公、ヒロインともに努力と信頼の積み重ねを重視した王道味付けであるため陳腐さがない。
駆け引きの一つ一つにしっかりとした調整を感じ、シナリオも読者の期待する流れに沿いつつも一段踏み越えてくるのがおみごとです。
多量の甘酸ッパインと少量のザマァニウムを補給可能。萌え萌えキュン。
依存度は低いが初級ナロニストから違いが分かるようになってしまった上級ナロニストまで、男女ともに服用可能。なるほどこれはジェネリック。
ただ難点は終盤の構成が荒く、駆け足気味に感じたこと。
しかし後日譚でしっかりとした補足があり、完結もきれいにまとまり一安心。
数日で読み切れるサイズです。胃もたれ、栄養不足にどうぞ。
おすすめ度★★★★☆
太っちょ貴族は迷宮でワルツを踊る
よきかな(*´ω`)
勘当された貴族の三男坊が良き出会いに支えられ多くを学び自分を見つけていく。
ノー転生ノーチート。さして強くもないし、有名になるというわけでもない。
ファンタジー世界に生きる彼らの感情をシンプル、素直に描いている。
とにかく疲れずに読めるのが何より良いし、相手の話を素直に聞けて、わからないことを素直に尋ねられる主人公は応援したくなります。
これから面白くなりそうな大長編…の序章で完結するかんじ。
風呂上がりにミルクエールを片手に流し込むおあとの良い読みやすい作品です。
即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。
どこまでもタイトル通り。終始タイトル通り。
ぼくが考えたサイツヨがチョコボール的にコロコロ出てきて、それを主人公が脈絡なくコロコロしていくお話。
メインキャラ以外がガンガン死にます。お前、消えるのか…? ってキャラ含めガンガンコロコロです。
最初は急な展開とノれないノリに面食らうものの、すぐにスルリと読めるようになる不思議。
軽い、カオス、語らないの3K進行ですが、のめり込んでいるわけでもないのにスルリ。
うーんこれは一芸特価タイプ。
すげー強い敵がいて、すげー複雑に絡まった線が、一行で無になる。
通常、強い敵や伏線を作り出すには多くの文字数が必要です。
しかしこの作品は超短文でそれをやる。
それでいてある程度の整合性と飽きないバリエーションを持っています。
章ごとに繰り返しの説明があったりと、雑なようで実は丁寧に作られています。
この小説は歯切れの良いお菓子としてメイン作品の合間に読むと幸せになれそうな気がします。
罔象の杜 (みずはのもり)
深い森の世界。蔓延る魍魎に押されながらも争いを止めない人類。本格派三人称。
なんとなくナウシカを想起する珍しい世界観。たとえるならば、主人公はいわゆる森の人。森を生き抜くための独自の知識と高い戦闘力を持つ無頼人。
主人公の目的は世界を巡ること。5人の嫁を迎え弟子に技術を継承させること。そして自由と平穏の日々。
まず、設定は最高に好みなのですが…。
漢字と名詞の多さに苦労します。誤字脱字に人名取り違えもあり正直目が疲れます。
しかし漂ってくる雰囲気の良さが某じじいのグルメ旅や某鬼の勧善懲悪ものの名作と重なり。作者の中に明確な世界を感じます。
文章の重さに慣れてくるころには展開も軽くなります。
ハーレム要素もあるのですが、なんというか珍しいキャラメイクに新鮮さが尽きないので中盤まで楽しく読めました。
とはいえ最初から最後まで文が重く名詞が多すぎるのは変わらず、その割にはやたら多い人名が戦闘描写くらいにしか役立っておらず。
中盤以降盛り上がる場面で感情移入ができていない人物の長々とした戦闘は大いに気が削がれます。
物語の進行に合わせて生き方や人と社会の関係性に触れてみたりと、良い味わいも多いです。
作中でキャラが歌うシーンがあるときに、その歌詞まで書かれている作品、実は少ないと思います。それが存在するだけで、作者が作品に抱く気持ちの一端を知れる気がします。
テーマを貫き、最後まで描き出している。そしてラストも素晴らしかった。というかラスト以外の中後半が離脱要素多すぎです。
しかし総評では粗削りな作品という印象です。
キャラと世界に深い作り込みを感じるものの、それを伝えられず結果的に読者の感情移入を妨げる要因が多すぎるような。
ラスボス以外の魍魎は舞台装置の域を出ず、主要キャラ以外は人名を削ってほしい…。
リアルさが足りず淡白で、その息吹を描き切れていないのが勿体ないと感じました。
今のままでも刺さる人にはすごく刺さるが、編集さんがついて洗練した場合とんでもない大化けをしそうな作品です。
俺にはこの暗がりが心地よかった
神主催の100人限定異世界転移&24時間ライブ中継に選ばれた幼馴染…が転移直前に主人公と一緒に殺される。
…うーん、あらすじの要約が難しいから本家で読んでほしい。
この作品はネトオク男の楽しい異世界貿易紀行(☆5)の作者さんの新作であり、雰囲気もよく似ています。
某〇ちゃんねる風の掲示板視点が合間に挟まれるのが特徴で、実際の雰囲気が伝わってくるようで面白いです。
ただ、序盤で卑屈になる主人公に「そうなるか?」思ってしまいかなりモニョモニョ。
作者的な理由付けとかは掲示板の住民が言葉にしてくれるので離脱を防いでくれました。
昨今のなろうではハンデの大きいすれ違い卑屈トラウマ系主人公。
勝手に深読みして病んだり、昔のドラマのごとくコテコテの誤解やすれ違いでストレスをかけられるのは個人的には好きになれません。
作者はそのあたりのマイナスをしっかり理解しつつ設定を貫いてくるため、過去作への信頼もあって読めましたが…。
陰キャ寄りななろう読者ほど闇属性攻撃を受けることになるため、HPが減っていないときに読むことを推奨します。
根本的にはかなりの高レベル作品。物語の展開もピカ一で、面白いところは本当にワクワクしてガンガン読み進めてしまう。
しかしとにかく主人公の弱メンタルが気になって仕方ない。なぜそうもトラウマンを強調するのか。
たしかに理由付けは理解できる。しかし物語進行における起点すべてでこれを利用するから余計に気になります。
掲示板や他者視点も面白いが、物語の進行を妨げるので文章のわりに話が進まない。
魅力的な世界観とキャラ設定を活かしきれておらずとにかくもどかしい。
最終的に主人公の独りよがりの思い込みは解けます。でも読んだ私のモヤモヤは溶けず。
完結後の話があるならものすごく読みたい。でもそれは作者の書きたいことじゃない。
愛してるけど嫌い。作中ヒロインになった気分。自分の好みに合わないご馳走。それに尽きます。
むいむいたん
むうむう・・・これは独特な小説だぜ。
異世界に芋虫転生した主人公視点でのクッソ大長編冒険譚。
そこそこ古い作品で、序盤は洗練されていないモッサリ感があるため離脱する人は多いと思います。かくいう過去の私もその一人。
しかし何人もの方からおすすめを頂く、なんというかドクペ的なロングセラー味がある。そして改めて読んでみると最後まで読めました。
最後まで読まないとわからない凄さはあるんだ。ただなんというかほんと、このイモムシな…(全ギレ)
まず序盤はストレスフルだぜ。適当すぎる主人公からの視点のみでちっとも世界観が見えてこないし、訳のわからない補足が挟まるし、あげく築いた力もボロクソに奪われたりする。
他の登場人物も圧倒的に描写が不足しており、心理描写がどうとか以前の状態で話が突き進む。
この時点で主人公に憑依するタイプの読者の9割が離脱すると思われます。
この作品を楽しむコツは「この芋虫アホだなぁ」くらいで気軽にもしゃもしゃ読むこと。
初心者のグダグダ実況プレイ動画をながら見するような感覚が必要です。
そうすれば逆に作中で語られていない世界観の奥深さとちりばめられた伏線を感じられる…かもしれないな?
見切り点は4章ラスト。芋虫さんはちゃんと強くなります。
脳みそは強く…ならないけど。反省しても芋虫脳だからね、仕方ないね。とはいえここまで読んで判断しても遅くないのじゃ。
読み進むほどに粗が減り、伏線が力を発揮し始め、芋虫さんもつよつよ少女化したりしてどんどん読みやすくなっていきます。
強くなってから「物語的にはそこ、苦戦するとこだよね?」みたいなところをあっさり突破したりするあたり、ある種舞台設定に忠実でかなり新鮮だったりする。
サイコロ転がして進めるような展開は、もし最初からラストを見据えて作っていたなら趣味小説の鏡といえるかもしれない。
完結は長さの割にあっさり。商業の域には届いていない。
しかしどこまでも曲がることなく、しかも毎日更新を通したらしい作者さんは間違いなくなろうの偉人である。
時を超えてなろう読者がむいむいたんを推すのは、たしかにこの芋虫主人公に魅せられたからなのである。これはなろう小説ではない。むいむい譚なのだぜ。
※↑記事にあるレビューは2023年更新分のみです。
2018年~2022年の過去作レビューは↓1234にまとめています。
過去の完結レビューまとめ1
サラリーマンの不死戯なダンジョン ☆5
無欲の聖女(旧題:無欲の聖女は金にときめく) ☆5
玉葱とクラリオン ☆5
五つの塔の頂へ ☆5
らすぼす魔女は前世の最萌を飼い殺す ☆5
グリモワール×リバース~転生鬼神浪漫譚~ ☆5
「お前ごときが魔王に勝てると思うなとガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい ☆5
おっさんたちの戦いはこれからだ!〜勇者パーティーの初期メンバーだった商人は勇者を使い捨てた大国にブチギレました。 ☆5
ネトオク男の楽しい異世界貿易紀行 ☆5
迷宮と掲示板 ☆5
町をつくる能力!?~異世界につくろう日本都市~ ☆5
笑顔で魔力チャージ~無限の魔力で異世界再生 ☆5
盾の勇者の成り上がり ☆5
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」 ☆5
幼女戦記 ☆5
転職の神殿を開きました ☆5
魔王さまのまちづくり!~最強のダンジョンは近代都市~ ☆5
この世界がゲームだと俺だけが知っている ☆5
セブンス ☆5
公爵令嬢の嗜み ☆5
転生したらスライムだった件 ☆5
無職転生 -異世界行ったら本気出す- ☆5
ソード・オブ・ベルゼビュート ☆4
目指せ樹高634m! 〜杉に転生した俺は歴史を眺めて育つ〜 ☆4
紅の死神は眠り姫の寝起きに悩まされる ☆4
戦姫アリシア物語(機動強襲型令嬢アリシア物語) ☆4
平和の守護者(書籍版タイトル・創世のエブリオット・シード) ☆4
骨骨ダンジョン作りかけ ☆4
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殺戮のダンジョンマスター籠城記 ☆4
千のスキルを持つ男 異世界で召喚獣はじめました! ☆4
小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋 ☆4
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予言の経済学 ~巫女姫と転生商人の異世界災害対策~ ☆4
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403 シングル・ルーム ☆4
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火輪を抱いた少女 ☆4
死神を食べた少女 ☆4
人狼への転生、魔王の副官 ☆4
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村づくりゲームのNPCが生身の人間としか思えない ☆5
12ハロンのチクショー道 ☆5
世界再生GAME ☆5
世界でただ一人の魔物使い~転職したら魔王に間違われました~ ☆3
モンスターのご主人様 ☆5
チートで賢者な俺は異世界に革命を起こす ☆3(ネタ枠)
僕以外の人類はVR空間に移住した ☆5
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召還社畜と魔法の豪邸 ☆5
ゲーム実況による攻略と逆襲の異世界神戦記(アウタラグナ) ☆4
スイカの星の進化論 ☆5
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リライト・ライト・ラスト・トライ ☆4
コレジャナイ!『Ⅱ』の世界へようこそ! ☆4
攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど ☆5
お前が神を殺したいなら、とあなたは言った ☆5
カルマの塔 ☆5
カラフ撤退戦 ☆5
黒姫の魔導書 ☆5
限界超えの天賦《スキル》は、転生者にしか扱えない ー オーバーリミット・スキルホルダー ☆5
「「神と呼ばれ、魔王と呼ばれても」」 ☆5
世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する ☆1(注意)
最新のゲームは凄すぎだろ ☆4
払暁 ☆4
2023年のご挨拶
めーーっちゃ更新遅れてすみません!('◇')ゞ
こんな一年に一度のまとめページに繰り返し訪問いただけること、コメントいただけること、本当にありがたく思います。
なろうを代表とするネット小説文化は本当に素晴らしい。様々な楽しみ方があり、自分が読んだ面白い作品を共有したい!
そんな想いで始めた更新もついに…何年目だ? たくさんの初日の出を拝みました。
ここまでになると小説をまったく読まない期間があったり、レビューの書き方進歩ねぇな俺とか考えだしてタイプが止まったり、とにかくいろいろあるもので(;'∀')
ちょいっちょいといただく皆様の応援コメントにおすすめ作品レビューでどれだけ助かっているやら…(〃▽〃)
そのうち今までに頂いたおすすめ作品をまとめたページも作りたいと…2年前から思っていますね、はい。
レビューした作品も半分以上はここのコメントで教えていただいた作品です。
紹介いただいた作品を全て読みたい…でも読めない。3億円ほしい。
…ともあれ、今後も細々と良き小説を見つけてはレビューしていきたい所存です。
皆様もこれはという作品があれば、またぜひ教えてくださいね。気軽に気軽に(*´ω`)ことよろり!
カエデ
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