猟師のカエデです。
年1,2頭ほどのペースでアナグマを捕獲しています。
この記事ではアナグマを箱罠で捕獲する際に必要なコツや、ちょっとした知識についてまとめています。
※この記事は3分で読めます。
アナグマを箱罠で捕獲するには狩猟免許(罠)が必要です。
狩猟をして良い時期(猟期)と、狩猟が許可されている地域とそうでない地域があります。
許可の詳細については地域の農林課に問い合わせれば教えてもらえます。
アナグマとは
これがアナグマです。
イタチ科アナグマ属で、本州、四国、九州に分布しています。
タヌキと似ているようでまったく違う生き物です。
動画ではアナグマを食べるまでまとめていますので、興味のある方は覗いてみてくださいね。
アナグマは美味しい?どんな味がするのか
精肉したアナグマの画像です。
「アナグマはどんな味がするのですか?」とよく聞かれます。そうですね…。
赤身は豚肉を濃くワイルドにしたような味と触感です。
脂身は砂糖をまぶしたように、とにかく甘いです。
普通に美味しい肉であり臭みを消さずとも食べられますが、若干の獣臭はあります。
牛と豚くらいの獣臭ですね。
初めて食べると、アナグマの味を獣臭と感じるかもしれません。
牛を同じ視点で食べたら、「乳臭い獣臭がする」となると思います。
同じ味の肉がないため上手く例えられないのですが、アナグマの肉を食べれば、普段口にする牛や豚の味に改めて気付く、そんな肉です。例えが難しい…。
冬の個体は赤身よりも脂身の方が多いほどで、焼き肉などよりは脂身を活かした料理に向いているかもしれません。
ただし野生動物の常として、味には個体差があります。
ジビエの基準で言うならば
食性は果物を主食として育った方が美味しくなります。
性別や年齢は、若い雌の個体が一番美味しく、逆に繁殖期のオスの味は獣臭が強くなる傾向があります。
ただし、何よりも一番は血抜きを適切に行えているかが味に強く影響します。
アナグマの味や料理法については↓の記事でまとめています。
狩猟方法はくくり罠よりも箱罠がおすすめ
くくり罠でアナグマを捕らえることも可能ですが…。
鹿や猪ならともかく、小型の動物を狙うなら最初から箱罠の方が良いです。
なぜなら後の処理が簡単だからです。
窮鼠猫を噛むと言いますが、くくり罠にかかったアナグマを安全に仕留めるのは非常に骨が折れるでしょう。
銃や槍を使うにしても、下手をすれば肉を傷つけてしまいますし、その場で殺すため処理が難しくなります。
箱罠ならば罠ごと持ち帰り、解体時期や場所を選ぶことができます。この差は大きいですよ。
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↑でおすすめしている箱罠ならば、穴熊や狸が暴れた程度ではビクともしませんし、5年以上は使えます。
くくり罠に比べて再設置も容易ですし、小型なら場所も選ばず確実性も高いです。
この記事は箱罠でアナグマを狩猟することを前提にしています。
アナグマの生態
アナグマは地下に複雑な巣を作ります。
巣には複数の出口があり、巣の中で子育てや冬眠を行うようです。
同じ穴の貉(ムジナ)とはここから来ていると考えられています。
慎重な正確なアナグマですが、生態を知るとますます個性的な動物ですね。
効率よく捕獲するためにまずはアナグマについて知りましょう。
冬眠されると狩猟は厳しい
寒い地方では、アナグマは巣の中で5ヶ月もの間冬眠するそうです。
そうなると冬期の捕獲は一気に厳しくなりそうですね。
兵庫なら1月に捕獲することもあるので、気温によっては冬眠しない場合があるようです。
アナグマ猟でおすすめの撒き餌は?
アナグマは雑食です。
昆虫やミミズなどを掘り起こして食べたりします。
柿やミカンなどの果物も食べるため、しばしば畑が荒らされることも。
箱罠に入れるなら匂いの強いものがおすすめです。
これまでは柿、煎りジャコ、キャラメルコーン(ピーナッツ)などで捕獲実績があります。
甘い、あるいは臭い(生臭い?)ものが好みなのでしょうか。匂いから罠に気付きやすくなるということもあるのでしょう。
しばしば大型の罠にアナグマがかかることもあります。
その時のエサは米ヌカとラーメンくずですね。
唐揚げなどでも可能性はあると思いますが、肉メインだとアナグマの前に猫やイタチがかかったりします。
個人的には甘いお菓子や果物寄りだとアナグマがかかりやすくなる気がしますね。
まだまだ研究不足であるため、アナグマ特化の撒き餌があるなら逆に教えて欲しいです。
アナグマの足跡
千葉県の行政ページより拾ってきました。
最近は公共機関が積極的に有害鳥獣などの情報を発信しているので、そういったページを見るのも勉強になるかもしれません。
私が解体したアナグマ動画の足はこんなかんじ。爪がすごいですね。
アナグマの糞
食べたものによって少し色が変わります。
写真の糞は前日にミカンと柿を与えているためか黄色っぽい色をしていますね。
細長い、人間の健康な便をそのまま小さくした感じ。
山では10センチほどの小穴を掘り、その中に糞をしたりするそうです。
箱罠を仕掛ける場所の条件は
アナグマを捕獲するためには、どこに箱罠を設置するのが効率的か考えてみましょう。
柿など、アナグマのエサとなる食べ物がある場所
箱罠のエサに引き寄せられてくれればそれが一番なのですが、実際はそう簡単にいきません。
元々のアナグマの餌場となる場所に仕掛けたほうが効率が上がります。
穴掘りの後、巣穴や糞などの痕跡を探す
1匹いるところには3匹はいる。どこかの黒光りしたGみたいですね。
同じ穴の貉と言いますが、巣穴を見つければ捕獲率を飛躍的に上げられるでしょう。
山を歩いていたら、謎の穴がぽっかりと空いていたりします。でも巣穴はそれなりに山奥の場所なんですよね。ままならないです。
土が柔らかいところ、広葉樹林
針葉樹林よりは広葉樹林の方がアナグマのエサが豊富であるため、狙うなら広葉樹林の方が良いでしょう。
ただしエサが多い場所では動物の活動半径が狭まるため、針葉樹林がだめというわけでもありません。
見回りやすい場所に設置する
いくらアナグマがいるからと言っても、片道一時間もかかる場所に罠を仕掛ければ罠の確認だけで疲れ果ててしまいますよね。
アナグマは比較的人に慣れやすく、人里に近い場所へも降りてきます。
また人里には柿の木や柔らかい畑など、アナグマ好みの餌場が広がっていますね。
そのため、へたに山奥を狙うよりも比較的人里に近い場所が良いでしょう。
最初は難しいことを考えない
上にいろいろ書きましたが、結局のところは痕跡を探すか、数を打って経験値を得るのが一番の近道です。
理論立てて仕掛けた罠よりも、適当に仕掛けた罠が多く取れることなんて日常茶飯事、むしろそっちのほうが多いくらいです。
とりあえずそれっぽいところに罠置いとけ。
ああ、真理を言ってしまった( ^ω^)・・・
なお、餌は箱罠の中だけでなく、箱罠の入り口に誘い込むように、入り口周辺から獣道などにかけて軽く撒いておくと良いですよ。
箱罠の上限は30 数うちゃ当たる作戦
私は鳥以外は基本罠猟なので、獲物の痕跡を追う技術については解説できません。
それでもそれっぽい場所に罠を仕掛ければそれなりに獲れるものです。
身も蓋もないですが。
冬場はエサも少なく、アナグマや他の動物は食べ物を探すことに必死になっているからかもしれません。
仮に複数のアナグマが罠にかかっても、処理できなければ逃がすこともできます。
ただし見回りは責任を持ってするようにしましょう。
箱罠でアナグマを捕獲したら
箱罠の中だから一安心
…なんてことはありません。
仕留める際には注意が必要です。
もしアナグマを仕留めるために檻の一部を開放する場合は万全の体制を整えましょう。
アナグマは木登りも得意であり、縦にした箱罠でも上部から脱出することができます。
アナグマは基本的に憶病で大人しいですが、追い詰めると非常に危険です。
「フシュブルルル・・・」と唸り出したら要注意です。
メッシュ越しに噛みついてきます。
噛まれれば指を持っていかれる可能性すらあるので、決して噛まれないよう万全の注意をしてください。
野生動物は命を脅かすような病原菌を保有している場合があります。
万が一噛まれたら即病院へ行きましょう。
私は手のひらサイズのメスイタチを逃がそうとして大けがをしたことがあります。
狩猟した動物の安全な殺傷、駆除方法についてはこちらの記事でまとめています。
まとめ
・捕獲には箱罠がおすすめ
・罠はなるべくたくさん、撒き餌は匂いの強いものを仕掛ける
・捕獲してからは事故に注意する
鴨の記事などに比べてどうしても時間がかかってしまいますね。まだまだ研究不足です。
そんな私でも罠を3か所も仕掛ければ年に一度はアナグマが獲れますので、みなさんもぜひチャレンジしてみてください。
猟果についてはどうしても地域差があると思うので、先輩猟師などに尋ねてみるのもおすすめですよ。
↓私が使用している箱罠です。かなりおすすめの逸品
捕獲器ジャンボ(箱ワナ) RB-2 栄工業 W290xH290xD650mm
次記事 アナグマ猟 止めをさし、解体するまでの方法
記事ができ次第差し替えます
カエデ
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