猟師の収入だけで生活することは可能か
猟師になってみようかなと考えたことがある人のほとんどは抱いたことのある疑問だと思います。
専業猟師の尻を追う新米猟師が猟師の年収や稼ぎについて見聞きしたことをまとめたいと思います。
※この記事は4分で読めます。
専業猟師で生活できます
結論から言って猟師の収入だけで生活していくことは可能です。具体的にはサラリーマンの平均年収くらいは稼ぎ出す方法があります。
ただしその収入を狩猟のみで得ることは難しく、相応の努力が必要になります。
猟師なのに狩猟以外で稼ぐの?と思った方のために猟師として収入を得る手段について考えてみます。
猟師を職業とした時、その形態はフリーランスである
まず、猟師には決まった仕事があるわけではありません。
猟師になるだけなら狩猟免許を取得すればそれで終わりです。
土日だけの趣味猟師も、毎朝の罠チェックから一日が始まる専業猟師も同じです。
どこまでやるかを選ぶのはあなたです。
ただし猟師の収入だけで余裕をもって生活していくつもりなら、平均的なサラリーマンをはるかに超える社交性と勤勉さが求められます。専業猟師になれるかはあなたしだいです。やる気次第なのはまさにフリーランサーですね。
専業猟師は具体的にどうやって収入を得ているのか
猟師になってみないと想像し辛いですよね。想定される狩猟関連の収益化手段について例を挙げてみます。
狩猟及び害獣駆除
地域により様々な条件がありますが、鹿や猪を捕まえれば補助金が8000円ほどもらえます。
罠を上限の30か所仕掛けていれば2,3日に一頭はかかるようです。年間100頭くらい獲れば80万円ですね。
狩猟した肉を肉屋へ卸す
鹿肉よりも猪肉の方が需要があります。猪だと一頭数万円~くらいにはなるそうです。
ただし販売するにはあらかじめ連絡しておいて引き取ってもらうか、登録された解体所へ決まった時間内に持ち込む必要があります。
このあたりは地域により難易度が異なります。
それでも3万円×50頭なら150万円になりますね。希望が湧いてきました。
※有害駆除で獲れた肉は自家消費が原則です。このあたり例外もあるのかいまいちよく分かっていませんが、何でも肉屋に売れるわけではないのでそれは注意してください。
嘱託職員や狩猟の保安官
長く猟友会で猟師として活動していれば市などからお声がけがあるそうです。
他の猟師が罠を正しく設置しているかを見回ったり、狩猟や野生動物によるトラブルへ対応したりといった仕事を委託されるそうです。
具体的な収入は聞いていませんが、聞いたらニヤリと笑っておられました。
長年活動した一握りの猟師の話ですので、一つの目標にすると良いかもしれませんね。
鹿角や猪牙を加工した工芸品・剥製などの販売
どれほどの需要があるのか、どれだけの販路があるのかは不明です。
私の地域の猟友会にはこれを本格的に行っている方はいません。
ですが営業努力次第で大きな可能性が広がる手段だと思います。
ネットで検索すれば鹿角を加工したアクセサリーなどを見ることができますね。
ジビエレストラン経営など
村おこしの一環で地域を挙げて活動している場所が増えてきています。
地産地消で猟師もニッコリ。素晴らしい活動だと思います。
獲物が獲れた時だけオープンするレストランで腕を振るう、あるいは獲れた肉を卸したり加工品を作ったり。どのように関わるかは自由ですが、これも大きな可能性を秘めていますね。
ワークショップ開催、ブログ、動画、ツイッターなど未来の可能性
狩猟×ITという考えは若い猟師に多いです。
このブログも皆さんへの情報発信をしたいという気持ちと同じくらいには、毎年の高い狩猟者登録費用を稼ぎ出したいという気持ちがあります。
猟師の収入が多角化して専業猟師のハードルが低くなれば、それは猟師の減少に歯止めをかける一石となるかもしれません。
稼ぎを増やすにはコネと信頼が重要です
知らないぽっと出の猟師から肉を買おうという店は少ないでしょう。
下手な処理がされていては双方トラブルの元ですからね。肉を売りたいのなら事前の顔出しくらいは必要になります。そのあたりは先輩猟師に師事すれば教えてくれるでしょう。
さらに猟期以外で狩猟をするためには有害駆除員になる必要があり、これは猟友会への所属が必須です。
つまり専業猟師を目指す人は必ず猟友会に所属しましょう。
猟師仲間を、多職種を、さらには地方自治体まで巻き込んで町おこしを始めるパワフルな専業猟師がたしかに存在します。
猟師というのはただの呼び名であり、猟師だから他のことをしてはいけないということはありません。
猟師、マタギといった言葉に神聖なイメージを抱いている方はいらっしゃいますが、猟師も人間であり生活があります。泥臭く利益を求める猟師がいても良いのではないでしょうか。どんな猟師を目指すかはあなた次第です。
猟友会へ所属することのメリットデメリットについては↓にまとめています。
専業猟師としての収入ラインと実現性の考察
自分一人が生活するための最低限の収入を狩猟で得ることを考えてみましょう。
具体的には年収150万円くらいです。それだけあれば田舎で慎ましい生活を送ることは可能だと思います。
まず、ソロ猟師として箱罠を上限の30個設置し見回りをすれば、鹿と猪の狩猟と有害駆除だけで年収150万くらいまでなら伸ばせると思います。さらに猟師業を個人事業主として青色で確定申告すれば65万の控除と経費で税金ほとんど0円生活ができますね。
ただし初年度から150万円はほぼ不可能です。
狩猟の登録費用や道具なんかは補助もこみこみで30万円くらいあれば一式揃いますが、効率よく猪を捕獲するための箱罠×30、さらに設置するための土地を揃えようとなると大変です。
引退する専業猟師から全て引き継いでもらえるくらいの幸運に恵まれないと不可能ですね。
ほぼ年中狩猟が可能な有害駆除員になるには猟友会でそれなりの実績が必要ですし。職人の徒弟制度よろしく住み込みならばあるいは初年度からでも…。
そこまでできる人なら何したって生きていけそうですね。
とりあえず猟師になってから考えれば良い
いろいろ極端な例を挙げましたが、猟師と言うのは本来もっとフランクなものです。狩猟は自分のペースで調整出来てノルマはありません。
猟師として本格的に取り組めそうならば手を広げていけば良いと思います。
そう考えるころには師匠がいたり友人がいたりと何かしらのとっかかりが掴めているでしょう。
猟師ってエコでロハスでクールでストレスフリーで稼げるんじゃないかなーってくらいの人は、まず趣味猟師からスタートしましょう。
私はアウトドアしたいなって理由で猟師になりましたし。私の狩猟の年収は25万円くらいかな。出費を含めればプラス8万円くらいか・・・?
僕の考えた最高に稼ぐ最強の専業猟師
午前、朝の罠チェックマラソン30か所、なんなら他の猟師のも見て回る。
なお、そのうち半分の罠は地元農家の住民が監視してくれているので毎日回らずに済む。
食卓に並ぶ野菜は全てもらいもの。
罠の整備及びかかっていた獲物の処理をこなし、解体所に運び解体、肉屋に持ち込む。むしろ家が肉屋。
シカジャーキーを貪り食いながらシカの頭蓋を加工して刀をかけるアレとかアクセサリーの作成。
午後、道路でシカが死んでいると連絡があり回収に。
役所の委託による回収要員。講習、安全指導とワークショップをこなす。ついでとばかりに草刈りのバイト。
その日一日の仕事をツイッターで発信、動画をアップし収益化。なんなら本やマンガも執筆する。
その傍ら自分で販路を開拓し、ジビエレストランや道の駅に肉を卸す。
なんなら加工工場とか経営しちゃうし、時間があるときはレストランで腕を振るっちゃうぜ!。
・・・これで年収数千万はいくでしょうね。上手くすれば億かも。現代に適応したマタギみたいな。
農業新聞とか取ってれば、実はこれに近い人が存在するということに気付きます。
さすがに動画収益化までは珍しいだろうけれど、私がしているくらいだから他の猟師もやり始めるんじゃないかな。狩猟ブログくらいはたくさんありますし。
最後に
専業猟師として生活できるかの可能性や、その場合考えられる収益化方法についてまとめましたがいかがでしたでしょうか。
猟師は担い手の老化により全国的に減少傾向にあります。一方で新たな若者による狩猟ブームの足音も聞こえてきています。みなさんも趣味としての狩猟、仕事としての狩猟に一歩を踏み出してみませんか?
不安やわからないことがあればコメントをください。私が分かる範囲でならお答えします。
↓私が猟師になった理由についてまとめています。興味がある方は覗いてみてください。
カエデ
最新記事 by カエデ (全て見る)
- 【2023年更新】なろう小説完結おすすめまとめ【ランキング以外マイナー多め】レビュー - 2023年6月1日
- 【2022年更新】なろう小説完結おすすめまとめ【ランキング以外多め】読了レビュー - 2022年2月9日
- 【2021年更新】なろう小説完結おすすめまとめ【ランキング外多め】 - 2021年1月4日