ネット小説の愛好家なら、面白くて読んでいた連載中の小説が突然更新停止してしまって悲しい思いをしたことがあると思います。
作者にとっても読者にとっても、未完の小説はとても未練が残るものです。
なぜそんなことになってしまうのでしょうか。
エタるとは?
連載している作品の更新が止まってしまうことを言います。
エターナル、永久に連載中という意味で使われる言葉ですね。エターということもあります。
連載中のラノベ、ネット小説などで使われる俗語です。
時間がない
小説の執筆中にもリアルの時間は進んでいきます。
ネットでは平気で100万文字を超える小説があったりしますよね。
しかし1,000文字の文章を書くには個人差はあるものの約1時間ほどかかります。
仕事で家に帰って用事を済ませて、寝るまでの3時間ほどの自由時間を全て小説とブログの執筆に捧げても、それで書けるのはせいぜい3,000文字。
ライトノベル一冊分の文字数と言われる約10万文字を達成するためには34日そんな生活をしなければなりません。3日坊主では1万文字書かない間にエタってしまいますね。
仕事や付き合いで忙しい
ネット小説の作者は学生よりも社会人であるパターンが多いです。
有名になるくらい濃い作品を書くのは、やはりそれなりに経験を積んだ人が多くなるということでしょうか。
作者も連載が止まってしまわないようにペース配分や書き溜めをしてから連載を開始するのですが、それでも思わぬ用事の連続で書き溜めが尽いてそのまま…というパターンがあります。
他にやりたいことができてしまった
素人の作家にとって、ネット小説やブログを書くことは単なる趣味の一つです。
書くのが好き。読んでもらえるのが嬉しい。
好きだから書いているだけで、その気持ちが他に置き換われば、驚くほどあっさりと連載は止まってしまいます。
小説を書き始めるときって、生活において小説の優先順位がかなり高い位置にあります。
「よっしゃ、家に帰ったら書くぞ!」「休みだし書き溜めするぞ!」という具合に。
でも他にやりたいことができてしまうと「やりたい」から「やらなきゃな」に変わってしまうのです。
新作ネット小説に感想が来ない!
作者にとって、もらえる感想は酸素と同じです。ないとだいたい死にます。
ネットに公開しているからには、作者は読者さんに自分の作品を読んでもらいたいと思っています。
特に初心者は最初に感想をもらえるまでのハードルが高く、感想をもらえるかどうかはモチベーションに直結しています。
しかしどれだけ更新を頑張っても感想がもらえなかったら?
私が以前投稿していたネット小説は1日2000~3000PV(ページビュー)ほどのアクセスがありましたが、そのPVで40万文字投稿してももらえた感想は35件ほど、人数に至っては手の指で数えられるくらいです。
私は連載5万字ほどで最初の感想を頂けましたが、それは早い方で幸運だったと思います。本当に感想はもらえないものなのです。
感想がもらえるというのはとてもありがたいことなので、応援する作者さんがいたらぜひ感想や応援コメントを書いてあげてくださいね。
とはいえ、反応がないなら反応を楽しみに作業することができます。
最悪なのが…
マイナスの感想をもらってしまった時です。
感想が来たけど悪口だった
そりゃあ感想は個人の自由です。
でも、その感想が作者さんにどのようなダメージを与えるか考えてあげてください。
小説は作者の究極の内面さらけ出し行為であり、センシティブな問題です。
ズルムケなのです。心が。そこに悪口を言われたら?
端的に言って、息ができなくなって死にます。
酸素が来たぞとワクワクしながら開いた感想箱の中身は毒ガスでした。
どんな素晴らしい作品だって誹謗中傷はあります。
大御所の作者さんなら、悪口も感想の一つとして喜べるのかもしれませんが、初心者作者にそれを求めてはいけません。
何気ない悪口でも、感想をもらい慣れていない作者にとってはクリティカルダメージになりえます。
感想を書くなら、ヒヨコを育てるつもりで優しく接してあげてくださいね。
修正不可能な矛盾に気付いてしまった、構成が練れない
次の展開が思いつかない…。
修正作業がめんどくさくなった…。
そういった理由から更新が止まってしまうこともあるようです。
実際は自由の利く小説ならば完膚なきまでに修正が不可能な矛盾というのは起こりにくく、作者の工夫次第でなんとかなることがほとんどです。
修正が不可能だと思ったり手間に感じてしまうなら、単にモチベーションが低下しているというのもあるかもしれません。
なんかいろいろもうめんどくさい
モチベーションの低下は全てを奪い去ります。ふっとやる気がなくなってしまうことは誰でもありますよね。
ネット小説やブログは基本的に個人で全ての環境を整えて開始します。
逆に言えば、止めるときも自分が更新しなくなるだけで終わりです。
エタって投げ出すのは最初の投稿を始めるよりもはるかに簡単なんですね。
休載しているうちにハードルが上がっていく。
誰も覚えていないだろう、今さら半端に更新してもな…。これだけ休んだのに内容が…。
ちらちらと感想欄を開いては閉じを繰り返します。
人気作家ほどあるあるかもしれませんね。
読者はそこまで求めていないとは思いつつも、自分の中で被害妄想のような何かが肥大していくのです。
自分で自分の小説の内容を忘れる
そんなことあるの?
さすがに嘘だろと思うかもしれません。でも私はなったことがあります。
自分の書いた小説でも、時間が空けばけっこうあいまいになってくるのです。
もちろん話のあらましは覚えているのですが、続きを書くには物語の伏線や位置関係などを正確に覚えていなければなりません。
連載当時の感覚は、たとえ自分の投稿した小説を読み返しても戻ってきません。
勘を取り戻すなら無理やりにでも書き続ける必要がありますが、一度放り出した作品をそこまでして再開するにはけっこうな根気が必要だったりします。
逃げやすい
インターネットに小説を投稿することは匿名でできますし、投稿する責任もありません。
連載を中止しても、マイページを開かずに全て忘れてしまえば何の問題も起こらないのです。
「やーめたっ('ω')」ってな具合です。
まぁ、途中まで読んでくれた方へ対する罪悪感みたいなものは半端ないですけどね。
新しい小説を書きたくなった
新しい作品は作者にとって強くてニューゲームのようなものです。
粗だらけの前作よりどうしても魅力的に映ってしまうのですね。
小説は文字におこす過程でどうしても理想と現実のギャップというか、脳内妄想を的確に表現できないことにヤキモキしてしまうものです。
脳内の物語はえてして素晴らしい作品に仕上がるもので、そうなるともう「前の話は置いといて次を書こう!」となるわけです。
なお、小説は文字におこす過程で…以下、無限エタりループが発生します。
書籍化作業からの原作更新停止
今やなろうの人気作家が書籍を出すことは珍しい話ではなくなりました。
作者にとっても書籍化はお金になるため優先度が上がります。そして書籍化のための改稿の量は膨大だということです。
これまでの個人と違い出版社との仕事として話が進むため、どうしてもその影響を受けてウェブ版の更新が滞りがちになってしまいます。
でも書籍が出るならそっちのクオリティが高いほうを追いかければ良いのではないかと思いますが…。
このご時世、売り上げが悪ければ書籍版も簡単に打ち切りを食らってしまうことがあります。
そうなるとがっくりしますよね。
作者にとっても続きを書き切るモチベーションが失われ、結局完結せずにエタる…ということがあるかもしれません。
無料で読ませてもらっていたのだから文句は言えませんし、好きな作品が書籍化されるのはやっぱり嬉しいことです。
とはいえ、いちファンとして早く続きが読みたいなと思ってしまうものではないでしょうか。
小説家になろうにおいては、序盤にまとめて投稿することでランキング入りさせるという、いわゆる新作ブーストを狙い、だめなら次へ行くという作者さんも一定数いるため、エタり小説は今日も量産されていくのです。
病、死亡で続きが書けない
人間が生み出す作品である以上、どうしても起こり得ることです。
SNSで活動しているような有名な方ならば、ファンに惜しまれることもあるでしょう。
ですがひっそりと連載している趣味作者の中には、読者に連絡をすることもできずに…という方もおられたと思います。
作者様のご冥福をお祈り申し上げます。
読者がいなくても、忙しくても完結させる作者がいる
なんのために小説を書くのか。
これはもうそれだけで一本の小説が書けるくらいに遠大なテーマです。
8割からの連載小説が完結することなくエタリ、残った2割も綺麗に完結してくれるとは限らない。
そんなエターと隣り合わせのネット小説界隈ですが、連載中に評価してもらえることは作者さんのやる気に直結しています。
連載中にリアルタイムで小説を楽しむのは、それはそれで違った楽しみがありますよね。
作者は完結を目指し、読者は読むことでそれを応援し、皆が今後もネット小説を満喫できれば良いですよね。
無料で最後まで読める完結ネット小説まとめ
個人的におすすめのしっかりと完結した作品をまとめていますので、良ければみてください。
カエデ
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