誰にでもできる影から助ける魔王討伐の小説情報
2019年現在
エンターブレインから書籍版四巻、漫画版一巻が発売中です。
ストーリー
強大極まりないクラノスの軍に劣勢に立たされ、退っ引きならない状態に陥った王国は教会の持つ禁断の秘奥、英雄召喚の実施を決定した。召喚された聖勇者、藤堂直継の栄えあるパーティメンバーにプリースト(ヒーラー)として選ばれた俺は、残りのパーティメンバーとして選ばれた二人、魔導師と剣士が原石であり、まだ第一線で戦える実力にない事に気づく。
果たして俺は魔王からの尖兵をしのぎ切り、勇者とその仲間達をレベルアップさせることはできるのか!?
進行状況
185話 95万文字 連載中
更新ペースや作者情報
作者である槻影氏は、【堕落の王】【アビスコーリング】【嘆きの亡霊は引退したい】などの作品を執筆されています。
私は嘆きの亡霊以外は読ませてもらいましたが、それぞれかなり毛色が異なる作品だなと感じました。
まだ完結していないものの、影から助ける魔王討伐が一番好みです。
2018年度は【嘆きの亡霊は引退したい】の執筆や【アビスコーリング】の完結を進めていたため、影から助ける魔王討伐の更新ペースは落ちていたようです。
書籍、コミカライズなどもあり多忙であるとは思いますが、精力的に活動されているため安心して追いかけています。
小説4巻と書籍1巻が2018年6月に発売しています。
2019年1月はカクヨムで頻繁に更新されているため、書籍5巻の発売を視野に入れているのかもしれません。
カクヨムで累計一位は伊達じゃない
なろうと比べて少し下に見られがちなカクヨムですが、上位作品の面白さはなろうの累計ランキングに勝るとも劣りません。
なろうの累計ランキングで言えば50位以内には確実に入ってくるような面白さを持った作品が並んでいます。
良くも悪くもネット小説の時代を切り開いた小説家になろうに比べ、後追いのカクヨム上位陣は商業ラノベに近いというか。
【誰にでもできる影から助ける魔王討伐】もその例に漏れず、商業ラノベとしてそのまま売り出しても問題ない完成度を持っています。
影から助ける魔王討伐を読んだ感想
※致命的ネタバレはありませんが、キャラ名、性格などレビューのための若干のネタバレを含みます。
勇者に対するイメージが変わる作品
一般的な意味でも、作品の中でも、読者が勇者に対して抱いているイメージが変化していきます。
一章で抱いた勇者藤堂へのヘイトは、章を追うごとに変化していくでしょう。
異世界の召喚勇者を現地人視点から見るというのは新鮮なものですね。
ネット小説の中にはそういった視点の小説もいくつか存在しますが、この作品は基本の描写力が高いので、さりげなくそういった点を織り交ぜて楽しませてくれます。
露骨な描写とさらりとした描写の強弱を徹底しているのが作品を読みやすくしてくれています。
影から助ける魔王討伐ですが、最初は表から助ける魔王討伐です。
一章の途中までは主人公アレスの視点で勇者が描かれます。
ガチで魔王討伐を目指すために派遣されたと思っている主人公ですが、なにやら勇者パーティを見ていると…?
ファック!
はっ?
クソがあああああ!
その時の勇者のイメージと、主人公アレスさんが勇者パーティから追放されてから始まる勇者視点のイメージの変化は必見です。
視点によってこれだけ印象が変わるんだもん、小説ってすごいですね。いや、作者さんが一番すごいのか。
少しずつ強くはなりつつも、まだまだ未熟な勇者パーティですが…。
さらに物語が進めば、もう一段階勇者のイメージを書き換えてくれそうでワクワクしながら追っています。
プリースト、僧侶のイメージがぶち壊れる作品
僧侶とは何なのか(哲学)
破戒僧(物理)
神の名の下に全ては許されるのです(真理)
ダークヒーローが許されるからダーク僧侶も許される…のか?
登場キャラクターをかなり絞っている&イカれてる
キャラを絞った分、一人一人に強いスポットを当てていると感じます。
章ごとにメインのキャラクターがいて、どのキャラクターも魅力的です。
個人的にはドジっ子よりも傭兵二人組が好き。
ただ、アメリアさんが少し暴走してはいる気はしますね。
作者である槻影氏の中でもよくわかっていないんじゃなかろうかと。
これだけ安定した作品を執筆できる作者ならすべて計算づくな気もしますが、キャラ描写を修正している形跡をみるとやっぱりキャラが定まっていない気も。
アメリアとアレスの関係がどのような形をとっていくのか気になるところです。
一章から出てくるキャラクターは、それぞれ描写されていない過去や秘密を抱えています。
それが少しずつストーリーで明らかになっていく過程も楽しみです。
キャラの完成度が高く、それぞれ大切にされているため章を追うごとに面白さが増しているのは大きな魅力です。なおグレシャ。
主人公に好感が持てる
ギャグじゃないのに思わず笑ってしまいます。がんばれアレスさん。
主人公が有能かつ強いため、シリアス成分が3ならギャグ成分が7くらいです。
キャラがしっかりと描かれているため、漫才じゃない漫才がおもしろいのですね。
たまに入る「クソがああああ」が良いエッセンス。
まじめな主人公なのに、章を追うごとにもはや何をしても面白い主人公へと進化(退化?)していきます。
アレスさんは概念。暴力の化身(僧侶)。
ウジウジしない主人公は良いですね。ザクザク読み進められるでしょう。
主人公アレス・クラウンと枢機卿クレイオ・エイメンの掛け合いも好きです。
テーマがはっきりしている
強力な魔王クラノスと魔王軍。
異世界から召喚された人類の希望である勇者がレベルを上げながら魔王討伐を目指す。
そしてそれを影ながら助ける主人公。
シンプルイズベスト。
話の筋が一貫しており章ごとにしっかり完結しているため、時間をおいて見直しても話を思い出しやすい作品だと思います。
徐々に明かされていく魔王軍の陣容や勇者パーティの秘密など、物語の展開が作者のコントロール下であることが感じられ安心できます。
充実していくのは勇者パーティではなく影パーティのほう
ストーリーの都合上、主人公が振り回されるのはネット小説の常ですが…。
これだけ露骨に振り回されている作品はそうそうないだろうと思います。
単独では勇者パーティの補助が困難だと判断したアレスはあの手この手で仲間を引き入れるのですが…
この先はもう読んでもらうしかない。
4章でアレスさんが暴走し始めるのもいた仕方ないことなんや…。
いろいろ割り切っている主人公、最強ではないとはいえ上級魔族を単独でボコれる僧侶って何なんだろう。
そしてそれを助ける有能な(はずの)味方。それでなんで毎回こんなことになるのか…。
誰にでもできる影から助ける魔王討伐評価
このまま完結まで走ってくれれば文句なしの最高評価となるであろう作品です。
さすがカクヨムで累計一位なことはありますね。
あらたなレジェンドとなるのか、とても楽しみにしています。
普段は完結済みの小説しか読まない私ですが、連載中でもここまで安定して読めるなら連載中の作品を追っていくのも良いかなと感じました。
同じくらい期待して追いかけている小説に【リビルドワールド】という作品があります。
安心して読める完結ネット小説のランキングを以下にまとめています。興味のある方はぜひご覧ください。
カエデ
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